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2010年12月20日 【ベトナム】
計画性について

Brain Works Asia co.,Ltd
田口 秀一

もうすぐ12月が終わり、2010年も終わる。
そして新しい年が来る。


ベトナムは旧正月なので、本格的な正月は2月の初めだ。
年末は大晦日まで仕事をし、元旦だけが休みなのだが、
今年はカレンダーの都合で3連休となる。


ベトナムは連休が少ないので、この連休はベトナム人にとっては嬉しいようだ。


さて、年が変わる頃に毎年することの1つに、翌年の手帳購入がある。
日本にいれば、書店に行くといろんな手帳があり、
どれを買おうかと迷ってしまうくらいだ。
しかし、残念ながらベトナムはそうではない。


ハッキリ言えば、手帳らしい手帳が全くないのだ。
単なるノートの最初にカレンダーがついただけのものが一般的だ。
日本のように、日ごとに枠があり、更に1時間ごとに区切ってあって、
スケジュール管理できるという類のものはない。


一体、ベトナム人はどうやってスケジュール管理しているのか?
と疑問に思うのだが、答えは簡単だ。
計画をしないのである。
正確に言うと、しっかりスケジュール管理している方もいる。
しかし、それはほんの一握りの人であり、多くの人はしないのだ。


よって、直近の予定だけを記憶に頼って覚えておくことになる。
直近とはだいたい1週間。長くても2週間くらいだ。
よって、アポをとって営業訪問しても、不在だということも少なくない。
忘れてしまったり、他の予程とバッティングしてすっぽかしてしまうのだ。


だから、特に遠方に訪問する場合は、行く直前に再度電話して、
今から行きますよと確認する必要がある。
それでドタキャンされることも少なくないが、行ってみていないよりは、はるかにいい。
行ってみて、いなかったときの徒労感は言葉にできないものがある。


日本で、何ヶ月も前に他人の予定を確保するものの1つに、結婚披露宴がある。
確実に出席してもらうべき人には、はるか前から予定を確保しておかなければ、
先に埋まってしまっては大変だ。


では、ベトナムはどうか。
だいたい、1週間前~2週間前に連絡が来る。
2週間前なら、早い方だろう。
初めてベトナムで披露宴の案内状をもらったときは、さすがに驚いた。
何しろ、開催が1週間後の土曜日なのだ。


既に予定を入れていたら、いったいどうするつもりだったのだろうと思ったものだ。
まあ、そんなに毎週予定が詰まっている人もいないかもしれないが、
やはり1週間前に突然、披露宴の案内をされると驚くし、
こちらの都合は考えていないのか? と思ってしまう。


しかし、ベトナムはこれが通常であり、それでいいようだ。
理由は私なりに考えて、2つあると思われる。


1つ目は、先にも書いたように、そもそもベトナム人は計画を立てない。
いつも直近の予定だけ立てるということは、
ほとんどの場合、直近まで予定が空いているということである。


2つ目は、披露宴の形態である。
日本であれば、呼ばれたら断るのは失礼だし、
自分は招待客として選ばれたのだ、ということでもある。


しかし、ベトナムは違う。ハッキリ言って、ただの宴会に近い。
参加者は多いほどよいと考えられており、誰でも呼ぶとまでは言わないが、
招待された人自身が、どうして? と首をかしげてしまうような人まで呼んでしまうこともあるようだ。
参加者300人など普通である。


少し話がそれたが、このように、日本人とベトナム人では、
計画性の面で大きな違いがあり、それがいろいろなところで現れるのだ。
大きなギャップを感じることの1つである。


先に手帳らしい手帳がないことを書いたが、こう考えると、確かに手帳はいらないように思える。
しかし、いくら郷に入りては郷に従えといっても、
日本人としては、さすがにこれには従えない。
仕事も生活もままならなくなる。
ベトナム人が時間にルーズなのは、
こういう生活習慣と密接に関連しているからだと思われる。


ベトナム人同士で付き合う上ではよいのかもしれないが、
外国人、特に先進国の人とお付き合いするなら、
やはりスケジュール管理くらいは最低限のマナーだろう。
自分のことだけでは済まず、相手に迷惑をかけてしまうのだ。


こういう考え方が浸透していくには、まだまだ時間がかかりそうである。
日系企業で働いている人などは、比較的時間を意識している傾向があるので、
やはり教育と習慣(躾)ということだろう。


 




 


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