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2011年3月7日 【ベトナム】
ベトナム品質

GABB Vietnam JSC
代表 玉置 哲也

先日、オフィスの日除け用のカーテンがレールごと落ちるという出来事があった。
朝出勤すると私の席の後ろのカーテンが天井に取り付けてあるレールごと外れて落ちており、
天井まである窓からは外の景色がよく見えるようになっていたのである。
まぁ、気分転換にはいいか。と言えればよいのであるが、
この窓は午後になると直射日光がモロに当たる場所である。
パソコンの画面が明るくて見えないどころか、
ベトナムの強烈な日差しが壁一面の窓から降り注ぐので、暑くて仕事どころではなくなる。


このカーテンは縦型のブラインドのようなもので、
いくつもの細長いカーテンがレールからぶら下がっているものである。
今までも、いくつかのカーテンの取り付け部のプラスチックが割れて落ちることは度々あった。
そうすると、その部分だけ日差しが入ってくるのだが、たった1本外れただけで
日中暑さに悩まされることになるのである。
それが窓一面となれば、想像しただけでも恐ろしい。


さっそく業者にクレームもかねて連絡を入れるように、ベトナム人スタッフに指示したのだが、
返ってきた答えは「今日は忙しいので来れない」というものである。
ベトナム人スタッフ曰く、元々このカーテンは日差しの強い場所なので、
プラスチックが日光で劣化してカーテンが落ちることがあると言われていた。
だから落ちても仕方がない。業者は今日は忙しいので来れないというのである。
確かに、プラスチックが日光で劣化してもろくなるのはわかる。
しかし、レールが外れるのは違うだろうと言うが、それも同じだと。
結局、次の日にならないと来ないということになり、
その日はベトナム人スタッフと一緒に窓一面に古新聞を日除けとして貼ってなんとかしのいだ。


翌日、業者が来て修理をしたのだが、後片付けをどうするのかに興味があったので見ていた。
今までも、クーラーの修理の際も踏み台を持たずに来て、会社の棚を踏み台代わりに使ったり、
作業後の掃除もせずに帰っていたからである。
特に今回、貼っていた古新聞を外して作業をするので、古新聞をどうするのか興味があった。
作業をしているときは、当然古新聞は外したままで、そこいらに散乱している状態である。
多分、このまま帰るか、せいぜい一箇所に適当にまとめて終わりだろうなと思っていたが、
作業が終わると散乱している古新聞をきれいに揃えて、これはどうする?と聞いてきたのである。
日本の感覚では当たり前であるが、ベトナムでそのように聞かれたことは、正直、意外であった。


しかし、考えてみると日本も昔は同じで、何も日本人だけがはじめから出来ていたのではない。
今から15年以上前になるが、私はふすま職人をしていた。
ふすまの修繕で個人宅に伺うことも多いのであるが、
その時の親方の行動は、今では考えられないものであった。
まず、個人宅に「くわえ煙草」のままお邪魔するのである。
次に、ふすまの修理には鉋(カンナ)は必需品なのであるが、敷物をすることなく、
絨毯の上でいきなり鉋をかけ始めたのである。
当然、鉋屑は絨毯の上に散乱することになる。
くわえ煙草なので、そのまま灰も・・・。
そして、修繕が終わると大きな鉋屑のみ気持ち拾って「奥さん、これ掃除しといてね」で終わり。
職人は修繕「してあげている」のであり、それが当たり前なのである。
役所も同じようなものであり、住民のために仕事を「してあげている」のである。
今では考えられないことであるが、当時の日本はそれで通用していた。


しかし、いつまでもそれでは競争に勝ち残ることが出来ず淘汰されてしまうので、
お客様のことを考え、サービスレベルを改善してきたのである。
ベトナム人と話していると、それは日本人だから出来るんでしょ。
それは日本の話でベトナムは違う。ということを言われるが決してそうではない。
どうすれば顧客が喜ぶか、他社と違う良いサービスができるかを考えて改善してきたからこそ、
今のサービスレベルになったのであり昔からできていたのではない。


多くの外国人がベトナムを訪れるようになった今、
「ベトナムだから」では通用しなくなるのは目に見えている。
だからこそ、日本も昔は同じであったという現実を伝え、
ベトナムの品質、サービスレベルの向上を一緒におこなっていきたいと考えている。



 




 


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