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2011年5月9日 【ベトナム】
生活ノウハウとビジネスノウハウ

GABB Vietnam JSC
代表 玉置 哲也


私が初めてベトナムを訪れたのは、約7年前。
その頃と比べて一番変わったと感じるのは、車の数である。
当時は、ホーチミンの街中でも車はさほど多くなく、まさにバイクの洪水。
信号もほとんどなく、交差点でも早い者勝ちという感じで
我先にと突っ込んでくる。
しかし、なんだかんだ言いながらスムーズに交通の流れが
出来ているのには関心した覚えがある。


また、バイクであらゆるものを運ぶ。テレビなどは当たり前で、
一番驚いたのは、冷蔵庫やタンスまでバイクで運んでいたこともあり、
そういうバイクを見つけるのが楽しみでもあった。
今もバイクは相変わらず多いが、当時から比べると車の数も増え、
バイクで大荷物を運んでいる光景を見ることは少なくなったので、
少し残念ではある。もちろん安全面では良いことであるが。


ベトナムでは、道路を横断するのに最初は非常に勇気がいる。
たとえ信号のある横断歩道でもほとんどのバイクは止まってくれない。
ひっきりなしに走ってくるバイクや車の中を、歩いて渡らなければならないのである。
しかし、やってみると以外に渡れてしまう。
コツは一定の速さで歩いて渡ること。
そうすると、バイクや車の方が勝手に避けてくれるのである。
これは逆に日本では考えられないことであり、
日本でそんなことをしようものなら、間違いなく交通事故に遭ってしまう。
それは、長年のバイク社会で培われたバイクと歩行者の暗黙の了解であり、
バイクと人が共存するためのノウハウとも言える。
バイクで色々なモノを運ぶのも同様である。


生活の中で気をつけて見ていると、
屋台やバイクのコーヒー売りなどのあり方も非常に考えられている。
屋台やバイクという狭いスペースにいかに多くの商品を積むか、
商品をすばやく出すためには、商品、輪ゴム、袋をどのように置くのかなど。
また、バイクの部品をその場にあるもので器用に直してしまったり、
実生活におけるノウハウが非常に充実していると感じる。


しかし、これがビジネスになるとノウハウを溜めたり、
考えたりすることをしているのだろうか? と思うことが多い。
あきらかに後工程のことを考えていなかったり、同じ作業を何度もしていたり…。


例えば、EXCELでリストを作るとする。
リストを作ることだけを指示すると、自分が昨日同じ様なリストを作成していても、
それをコピーすることは考えず、一から作りはじめる。
昨日のリストを使うとしても、そのままそのリストを上書きしてしまい、オリジナルを残さないなど。
どうすれば効率よく楽に仕事をするかということにあまり目が向かないのである。
まだまだ、時間をかけて済むのであれば、
色々考えるより時間をかければよいという感覚が強いと感じる。


そして、もう一つがノウハウそのものがない、ノウハウがあっても共有されておらず、
色々なケースを想定して物事を考えていないと思われることがある。


弊社のオフィスビルの1F入り口に、ビル名が書かれているひさしがある。
オフィスビルの壁面がガラスを多用していることもあり、それに合わせたガラスのひさしで、
結構おしゃれに作ってあるのだが、雨が降ると全く役に立たないのである。
普通であれば、雨が降っていてもひさしの下で傘の準備をするとかできるのであるが、
このビルではひさしの下に居ようものならずぶ濡れになってしまう。


なぜかというと、大きなガラス板1枚がひさしになっており、水はけを全く考えていないため、
ひさしの端すべてから溜まった雨水が滝のように落ちてくるのである。
特にベトナムは激しい雨が降るので、落ちてくる雨水の量も尋常ではない。
ひさしの役割、雨の際にどうすれば機能するかなどを考えずにデザイン優先とした結果と言える。

 

 

 

生活現場では、様々なノウハウを持っているが、
ビジネスにおけるノウハウの蓄積や活用はまだまだと感じる面が多い。
しかし、これはビジネス面での伸びしろが大きく、
品質やサービスの向上に大きな可能性があるということでもある。
現地の方の生活ノウハウを学びながら、
ベトナム企業がビジネスノウハウを活用できる仕組みづくり行うことも、
弊社の重要な役割の一つなのだ。



 




 


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