アジアブログ

 

 
 

2011年6月27日 【ベトナム】
電話

Brain Works Asia co.,Ltd
田口 秀一

ある日系企業から相談を受けた。
ベトナム人スタッフが日本人と接するときの行動が危なっかしくて見ていられない。
きちんと対応できるように教育したい、というものだ。


これは上記の企業だけでなく、多くの日系企業が持っている悩みだろう。
最近では、ベトナム企業でさえも、スタッフにきちんとマナーや礼節を
教えたいという企業が増えてきた。


まさに、そういう要求があるからこそ、教育サービスが必要となるのであり、
弊社でも力を入れて展開しているのである。
ベトナム人どうしで接するだけなら許されることでも、
先進国の人と接する際には改めなければならないことは多い。


今までにも何度も、ベトナム人の時間感覚が異なることを述べてきたが、
これは改めるべきことの代表格である。
では、それ以外ではどうなのか。今回は電話対応についてお伝えしたい。


まずよくあるのは、言葉が通じないときに、一方的に切られてしまうこと。
言葉が通じないのだから切るしかない、ということもあるかもしれない。
しかし、再度かけ直すと、今度は日本語なり英語なりが通じる人が出るのだ。


要するに、代わろうと思えば他の人に代われるのに、
面倒だからそうせずに切ってしまうのである。
また、切る際に「すみません」くらい言ってほしいところだが、それもない。
私もベトナム語で「すみません」くらいはわかるが、それを言われたことはない。


取次ぐときに、相手の名前さえきかない、ということもよくある。
日本では当たり前のことだが、ベトナムでは、そうではないのである。


また、同じく取次ぎの際のことだが、受話器の口を塞がないことは多い。
電話の向こうで大声で相手を呼んでいる声が、そのまま聞こえてくるのである。


電話を取らない、という話もよく聞くことである。
自分の机で鳴っている電話くらいは取るが、隣の机の電話や所属部署が
違う電話などは、何回鳴ろうと、決して取らないのである。


私が取引先の会社に電話した際にも、ごく普通の業務時間中であるはずにも限らず、
誰も電話に出ない、ということがよくある。
これは恐らく、上記のような状況なのだろう。


転送といえば、あるベトナム企業のマネージャー研修をしている際に、相談を受けたことがある。
「顧客から電話を受けた時、担当部署に電話を転送するのだが、転送先の人が誰も電話に出ず、
顧客を待たせっぱなしにしてしまい、クレームを受ける。どうすればいいのか」というのだ。


「転送したら、そのまま受話器を置いてしまうのではなく、
転送先の人が電話に出るのを確認してから、受話器を置けばいいのだ」と教えると、
「なるほど、そうか」と納得した。
こういうことは、実は各所で多発しているのではないだろうか。


また、ある日本食のレストランに電話したときのことだ。
電話に出た人は日本語が通じたので、「○○さん、いらっしゃいますか?」と聞いた。
すると、「○○さんは、友達と遊びに行きました」と言うのだ。


確かにその通りで、事実なのかもしれない。しかし、あまりに程度の低い対応である。
私が日系企業の方に相談を受けたという、「危なっかしい対応」そのものだ。


ベトナム人の携帯電話の使い方も問題が多い。
打ち合わせ中でも、マナーモードにしている人はほとんどいないと感じるし、
平気で電話を取り、相手と話し込むこともある。
ひどい場合は、ずっと携帯いじりをしながら打ち合わせをする人もいる。


日系企業に訪問した際に、電話対応の話をすると、上記のような問題点を
感じている人は実際に多かった。しかし、改善は十分に進んでいないようだ。


私が感じるのは、ベトナム人は悪気があってそうしているのではなく、
知らないだけで、教えれば実は素直に改善に取り組むことが多いということだ。
自社のため、ということもあるが、こういう指導をきちんとしていくことは、
先進国から来た者としてやっていくべきことではないだろうか。



 




 


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