2011年7月6日
【ベトナム】
ベトナムは信じられないことが起こる国?
GABB Vietnam JSC
代表 玉置 哲也
ベトナムで生活をしていると、
日本人には信じられないようなことが色々な場面で発生する。
例えば、オフィスのクーラーの修理にきた技術スタッフが脚立などの道具を持参せず、
土足(それもビーチサンダルで作業をしに来る)で、
私たちの会社の棚に乗って何食わぬ顔で修理を始める。
注意をしても「えっ?カタイこと言うなよ」と言わんばかりの表情。
知り合いの日本人からは、自宅の壁の修理に来た業者は、
壁に塗るコンクリートのコテ代わりに包丁を使われたいう話を聞いた。
ローカルの飲食店に行き、他のテーブルに調味料がないとなれば、
断りもなく私の座っているテーブルから調味料を持って行く。
ベトナムは暑い国であるが、現地では鍋料理が人気であり、
スタッフとの宴会では必ずといって良い程、鍋料理が登場する。
ローカルの店では、まだまだガスコンロは少なく、七輪で炭を使っていたり、
蝋のような固形燃料のコンロだったりする。
そこで熱くなった鍋を持ち上げる際に、
当たり前のようにお客さんの使っているお箸を使う。
しかもそのお箸をそのまま元に戻したりする。
これらの事例から感じることは、身近に使えるものがあれば使って当たり前。
それが誰のものなのか、どうなるのかなど関知していない。
自分が必要なものを持っていないのだから、目的を達成するために、
近くにあるものは何でも使っても良いという感覚である。
逆にいうと、周囲もそれだけ大らかだともいえる。
困っているのだから助けてあげるのが当然ということかもしれない。
事実、ベトナム人は他人に対して優しいという一面も持っている。
日本の田舎のような感覚とでも言おうか、
困っている人がいると声をかけて助けてあげるような感覚である。
私は日本との会議の関係で、早朝に出勤することも多い。
弊社では以前からTV会議を活用しており、日本とも常にTV会議をしている。
日本の早朝会議にあわせようとすると、時差の関係からベトナム時間の
朝5時や6時に会議開始ということがどうしても発生する。
さすがにそれだけ早朝になると、タクシーのドライバーも仮眠中だったりして、
なかなかつかまらないことがある。
そんな時、いつもタクシーをつかまえる場所に早朝からいるバイクタクシーのおじさんが、
タクシーを探してくれるのである。
仮眠中のドライバーを起こしてくれたり、行き先まで告げてくれたりする。
何度か、私が仮眠中のドライバーを起こそうとして断られたり、
タクシーを探してウロウロしているのを見ていたのであろう。
今では、私の姿を見つけるとタクシーを呼んでくれるようになった。
ただ言葉がお互いに通じないので、
タクシーの中から手を振って感謝の気持ちを伝えている。
そういう困ったときはお互い様という感覚を、
ビジネスのお客様に対しても持ってしまっているのが問題である。
サービスする側がお客様に甘えてしまっている構図である。
アジアの中で非常に注目を集めており、間違いなく成長していく国であるベトナム
だからこそ、世界に通用するサービス品質を実現することが必要であり、
ことビジネスにおいては「ベトナムだから」という考えを捨てなければならない。
まだまだ、企業研修に行ったり弊社のベトナム人スタッフと話していても、
「ベトナムだから」という感覚が強い。
しかし、これから世界に通用する国に成長するには「ベトナムだから」とか
「日本では」とか言うのではなく、本当に良いもの、良いサービスとは何か?
という目線から考えることが重要である。
日本が伝えられることは、日本も30、40年前は似たようなものだったのである。
しかし、色々と考えて工夫を重ねた結果、
品質もサービスも世界一といわれるまでに成長したということである。
そういう意味でも、これからのベトナムは日本の何十倍もの伸び代があり、
最初に述べたようなこととは違う「信じられないこと」が
山のように起こるビジネスチャンスの宝庫である。

|