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2011年7月8日 【中国】
性悪説のバス料金徴収システム


北京華通広運物流有限公司
柳田 洋


 



ここ数年で北京では地下鉄やバスに乗るための
プリペイド式の交通カードが急速に普及しました。
なぜなら、北京のバスの初乗り料金は、現金だと1元(12.5円)ですが、
交通カードなら何と6割引きの0.4元(5円)で済むからです。


バスに乗るときには備え付けの機械に交通カードをかざして支払いをします。
短距離の路線で、全線初乗り料金の場合は
乗るときに交通カードをかざすだけで良いのですが、
長距離の路線で、乗車区間によって料金が変わってくる場合には、
バスを降りるときにも交通カードをかざして精算をするようになっています。


長距離の路線の場合、例えば、最長区間の料金が4元(50円)だとすると、
バスに乗って交通カードをかざしたときにカードからいきなり4元が引かれます。
そして仮に0.4元分の区間を乗ってバスを降りるときにカードをかざすと、
差額の3.6元(45円)が返ってくるシステムになっています。
これは最初に最長区間分の料金を引いておかないと、
長い区間を乗ったのにごまかして降りるときに
カードをかざさない人が出てくるからだと思われます。
この料金徴収システム、まったく乗客を信用していない
性悪説を前提に作られているのです。


しかし、今度は、バスを降りるときにカードをかざすのを忘れて、
0.4元分しか乗っていないのに、4元の料金を取られ、
市の交通局にクレームをする人が続出。
写真はバスの出口の扉なのですが、最近は写真のように
「あなたの経済損失を防ぐために、降りるときにカードをかざしてください」
というステッカーが貼られるようになりました。


バス料金徴収システムに限らず、中国では多くの社会システムが、
性悪説を前提に組み立てられています。
そして、このバスの扉のステッカーのように、親切に教えてくれることは稀で、
だいたいの場合は損をしても「知らないお前が悪い」で済まされてしまうのです。

 


 


 


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