アジアブログ

 

 
 

2011年7月19日 【ベトナム】
食文化

Brain Works Asia co.,Ltd
田口 秀一

ベトナムに視察に来られた方からよく聞かれることの一つに、
「日本人街みたいなものはあるんですか?」というものがある。

残念ながら現在、日本人街と言えるほどのものはないが、
日本人向けの飲食店が立ち並んでいる通りや一角はある。

つい最近も飲食関係の方が視察に来られたので、このあたりをご案内した。
こちらで有名な店の一つに「The Sushi Bar」という日本人が経営する寿司屋があるのだが、
どなたも、この店の繁盛ぶりには驚かれる。ベトナム人の顧客も多数いる。

先日、視察された方の言葉を借りれば、
「これを見れば、誰でもベトナムに店を出したいと思うだろう」とのことであった。

しかし、そもそも日本とベトナムの食文化は大きく違うし、
どんな店でも流行っているというわけではない。
むしろ、多くの日本食レストランはベトナム人顧客を取り込みたいと考えていると聞く。
なんでも、日本人顧客がビールも飲まずに食事だけして帰るのに対し、
ベトナム人顧客は飲むは食うはでたくさんお金を落としていってくれるらしい。

さて、ベトナムにはテト(旧正月)というものがあり、
これが1年間での最大のイベントということは以前にご紹介した。
それだけに、いろいろとお金や手間をかけて飾り付けをしたり、料理なども準備する。

このブログで書くのは初めてだが、実は、私にはベトナム人の妻がいる。
写真は、今年の我が家のテト料理である。
ちょっと地味だが、ご覧いただきたい。
こちらのテト料理には「豚の角煮」に似た料理があるが、
今年は大量にそれを作ってしまい、毎日のように食べさせられた。




ベトナムにいても、やはり日本人なので、日本食が食べたくなる。
ある時、外出ついでに店で持ち帰りの寿司を買って帰った。
ちょうど妻の姉と、その旦那がおり、昼食時間が重なったのだが、
同じテーブルについて、一方は寿司を食べ、一方はベトナム料理を食べた。

私の思い過ごしかもしれないが、同じ食卓についていながら、
全く別の食べ物を食べていると、そこに壁があるように感じてしまう。
普段、同じものを食べているときとは全く別の感じである。
日本でも昔から、「同じ釜の飯を食った仲」などと言うが、
このとき、その言葉を逆の意味で思い出したものだ。
やはり、同じものを食べる、というのは一体感を持つ上で重要なものだと、
改めて感じたのである。

このあたり、社員との飲みニュメーションともつながってくることだろう。
社員にいいものを食べさせてやることもよいが、時には、社員が普段
食べているものと同じものを食べることも必要だと思う。

寿司屋にベトナム人顧客が多いという話を先にしたが、
他にも人気がある食べ物がある。ラーメンである。
特にベトナム人は「とんこつ味」が好きらしい。
私の妻もラーメン大好き派であり、日本のインスタントラーメンも大好物だ。
特にお気に入りは「うまかっちゃん」で、私の分まで食べられてしまう。

ところで、ベトナムはフォーをはじめとした麺類が豊富で、
ラーメンもあるが、ほぼ必ずと言っていいほど唐辛子を大量に入れて、辛くして食べる。
私も最近は辛い味に慣れてきた。
以下の右の写真は私がベトナム風のラーメンを食べた後だが、
唐辛子がいくつも浮いているのがおわかりになるだろうか。
逆にそうしないと、やや味気ないというのも理由の1つなのだが…。
なお、右側は全く別件だが、紹介までにダナン名物の汁なし麺の写真である。


   

先日、ベトナムで日本製のグッズ類を販売する小売店の社長に会った。
その店での一番人気は「海苔巻き器」だそうだ。ベトナムでは海苔を食べる習慣はないが、
皆、興味本位で買っていくらしい。

残念ながら、ベトナム人の家庭で日本食を作る習慣や文化はまだない。
何でも、材料や調味料が高いからだそうだ。

日本も以前は漬物や味噌汁をはじめ、質素な食事が多かったはずだが、
今では家庭の食卓まで欧米化が進んでいる。
上記の値段の件をはじめ、まだまだ壁があるようだが、
今に、ベトナムの家庭にも欧米の食事や日本食が並ぶことだろう。

ベトナムでは、まだまだ本当の日本食文化は知られておらず、
寿司、ラーメン、味の素(食べ物ではないが)など、一部のものが有名になっているにすぎない。

私たちが進める「ジャパンスタイル」は、食文化を含めてた日本の文化を
本当の意味でベトナム人に知ってもらおうという取り組みである。
今後、ベトナムに進出をお考えの方は、利益を追うのは経営上必須ではあるが、
是非とも日本文化を広げ、定着させる意気込みでやって来ていただきたいし、
そういう方達と協力していきたいと思う。



 




 


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