アジアブログ

 

 

2011年7月25日 【韓国】
何かと比較される韓国人と日本人

ブレインワークスグループ CEO 
近藤 昇




私はアジアへ行くと、決まって韓国語か英語で話しかけられる。
特にベトナムでは。
この10 年の間、出会ったベトナム人のほとんどが、私を韓国人と間違えるのだ。
また、現地の韓国系の店に入った時は、「アンニョンハセヨ」と
あと少しだけ知っている単語を駆使して話していると韓国人で通せる。
確かに、顔立ちがやや似ているとは自分でも認めるが、それにしてもである。
私以外の日本人もたいてい中国人か韓国人と間違えられる。
このあたりの実績から推察すると、日本人はアジアでは存在感が低いのである。
アジアにビジネスや観光で出かけたことがある人は、多くの方が実感していることと思う。
至る所にコリアンパワーを感じるのだ。

日本もいよいよ、自国のマーケットの縮小によりアジアに出ることを余儀なくされている。
大震災後は特に進出ラッシュの感がある。
私たち日本人にとっては、日本復活に向けて楽しみな胎動であろう。
ベトナム、カンボジア、ミャンマー、インドネシアなど、世界的に魅力溢れる
アジア新興国は親日国でもある。
そして、多くの経営者が日本人とビジネスができる事を期待している。
現地の人に『どこの国が望ましいビジネスパートナーか?』
と尋ねたアンケートでは、日本は常に1位か2位にランクインする。
中国や米国と競っての話である。
この結果は、嬉しい限りだ。

一方で、日本人はベトナムなどで“NATO”と揶揄される。
NATOは、”No action  Talk only”の意味だ。
日本の企業は口ばかりでなかなか実行しないという意味を指す。
日本企業および日本人の印象を皮肉ったもの だ。
こんな話題の時でも、1番に比較されるのは韓国なのである。
韓国は、1997年に金融危機に見舞われ、国の存続も危ぶまれた状態から、
アジアや世界に活路を求めて行動を起こした。
その結果、アジアや世界のいたるところでサムソンやLGに代表される
ナショナルブランドが浸透しつつある。
今や円高、ウォン安の環境下、世界進出は加速している。
以前は品質面で日本とは圧倒的な差があったが、今ではその差も急速に縮まっている。
安くてそこそこの品質なのだ。



  
 
  


どん底から奇跡の復活を遂げたのである。
ある意味、守るものがない状態からの奇跡の復活は、
大胆な行動の結果、達成できたのだろう。
今でもその大胆さは、無謀、強引過ぎると批判されることも多々あるのも事実だ。
一方、その頃の日本は経済の低迷期にありながら、
まだ、ほとんどが日本国内だけを見ていて危機感が薄かった。
まだまだ余裕があると錯覚した分、海外進出で韓国より遅れをとった。
震災がなければ、危うく“ゆで蛙”になるところであった。
こういった行動は、アジアの現地では、ハッキリとしたコントラストとして
対比されるケースが多い。

韓国の経営者は決断、行動が速い。
日本の経営者の決断は遅い。
従って、チャンスを逃す。
“いい奴”なんだけど決断できない。

こんな印象が定着してしまっているのである。

もちろん、大企業などは、用意周到に海外戦略を進めるのは当たり前で、
私はそんなに経営判断や行動に遅れがあるとは思わない。
問題は一寸先は闇の死活問題となる中小企業である。
大企業であれば、今からでも強力な企業力や資本力でアジアや世界で戦えるだろう。
中小企業に とっては日本を出るのも、そして残るのも厳しい環境である。
こんな状況では、中小企業が単独でアジアで戦うにはライバルも多い。
そして、 日本ブランドの恩恵も十分には活用できない。
一方、韓国は、国を挙げてナショナルブランドをアジアの各国に浸透させている。
テレビ、映画、広告などあらゆる手段を駆使して、韓国のファン作りを用意周到に行っている。
その結果、韓国のファンが増え、韓国ファッョンやビューティスタイルに
あこがれる若者が増えている。
そして、商品が売れていく。
マクロ視点のブランド戦略、マーケティング戦略が巧みなのである。
ベトナム人経営者に言わせれば、
『日本はPRがヘタ、マーケティングがヘタ』となる。
あわせて、日本人は謙虚過ぎるという評判も良く聞く。

では、組織マネジメントはどうだろうか?
10年以上前の評判では、韓国企業のマネジメントは乱暴すぎると嫌われて敬遠されてきた。
韓国人は怖いと話をするベトナム人が多くいた。
それが最近は相当ソフトなマネジメントになっているようだ。
逆に、今はそれと比べて日本の企業は、とにかく厳しいと敬遠されがちだ。
もちろん、品質確保、サービス力向上を徹底するために、
人員のマネジメントが厳しくなるのは当然なのだが・・・。
日本の印象が相手にうまく伝わっていないようだ。
日本企業の人気が落ちていることは残念なことである。
この課題に関しても、もっと、国や企業同士の連携で、
日本人ブランドや組織マネジメントのすばらしさを、
啓蒙活動するとか、産業全体の教育を推進するなど、
色々と打つ手はあるはずだ。

いずれにしても、アジアでは韓国に大分先を越されているのが現実だ。
ビジネスに限らず日韓は何かとライバル関係になりやすいが、
アジアでは、多くの国が切磋琢磨しながらでも、
一方 では共存することが重要だ。
この両立が最もバランスが良い。
今後は日本と韓国のコラボレーションがもっと活発になることにも貢献 したいと思う。

私が韓国人に間違われなくなったときが、
本当の意味で、日本がアジアにおいて存在感を示すことができたときだろう。








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