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2011年8月31日 【ベトナム】
星越ベトナムレポート 第12巻

村上 博治



1か月の経済の動き

 

① 世界経済


 2011年8月5日は歴史に残る日となるでしょう。スタンダード&プアーズ(ちなみに質問があったのでお答えしますが、社名の「プアーズ」は人名が由来です。「貧乏」という意味ではありません。)がアメリカ国債をトリプルAから格下げしたのですから。リーマンショックにおいては格付け会社の格付けに「だまされた」といってもいい仕打ちをうけたのに、ソブリン債の格付けが下がると大騒ぎする市場をみていると非常に残念です。他に判断基準がないというのが大きな原因ですから、格付け会社に頼らない、何か別の判断基準を今後考えていくべきなのかもしれません。

 

 

② ベトナム経済


 相変わらず高いインフレが続いています。7月のCPI 上昇率は、対前月比 1.17%増となりました。この大きな要因として、食料品の上昇(対前月比 3.2%増)・外食(同 1.78%増)が挙げられます(実はその他の項目は 1%以下の上昇に留まっているのですが…)。対前年同月比の CPI 上昇率は本年で最も高い 22.16%増となり,2008 年 11 月以来の高い水準です。かなり一般市民の生活を圧迫するようなインフレの起こり方ですので、個人消費がGDPの7割を占めるベトナム経済にかなり悪影響を及ぼすのではと考えられます。

 

 

③ 今月の話題


 8月のマーケットは、歴史に残るような動きをしました。市場関係者は 夜寝る前に、「自分が寝ている間に、マーケットが激変しませんように」と 祈った人が多かったのではないでしょうか。 今回はヨーロッパ発の下落が端を発しています。もしヨーロッパの不良債権問題が昔の日本のように爆発してしまうと、アメリカが国力低下している今、もう助けることができる国が世界にはないでしょう。そうすると、世界的な景気後退がおこる可能性があります。市場はこのことをかなり折込みつつありますが、油断はできません。 日本はそのとばっちりを十分に受けていまして、円高、株安と良いことがない状況です。そして日本の政治はまた内部政権抗争で停滞です。残念なことです。

 

 

④ 星越ベトナムファンド


 今月もベトナムマーケットは、動きが鈍く低位でボラティリティが低いマーケットでした。びっくりしましたのは、PVI(株価18,000ドン)がドイツ系の保険グループに株価35,000ドンで割り当て増資をしたことです。ベトナム株は優良企業が大変安値圏にあると思われているみたいです。これからも同じ動きがでると思われます。ファンドは評価0.9です。

 




 

日越 街角レポート

町の変化率はすごいです。

最近ベトナム・ハノイの昼間は大変暑いです。熱中症対策もあって、最近私は仕事以外に昼間出かける事を減らし、夜の日が落ちた後に散歩等に行くようにしています。すると、ネオンで町の変化がわかることに気がつきました。

日本では景気後退以後、お店が閉まっても、次のお店が開店することは少なくなり、シャッターがおりたままの店が多くなりました。そして夜がその分暗くなってしまっています。しかし、ここハノイはちがいます。とにかく店の変化が激しいのです。住宅街なのに銀行の支店が20店舗も出来たことがあり、「これはつぶれる」と思いました。予想通りにつぶれたのですが、その後あっという間にタイレストラン・ケンタッキー・カラオケ店が入りました。昼間は気をつけないと気付きませんが、夜だと町が激変して行くのがよくわかります。つぶれた店がそのままになっていることはまずありません。経済成長の中、激しいインフレや高金利で商売がダメになっても、次に続く人がすぐでてきます。
このような時は古くからよい場所で不動産(特に土地の権利)を持っている人がインフレに一番強く、完全に貸し手天下となっています。

 

 



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