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2011年11月28日 【ベトナム】
ベトナム医療体験①

Brain Works Asia co.,Ltd
田口 秀一


少し前、デング熱にかかってしまった。
周囲の方にお話ししたところ、皆さん揃って驚かれると共に、
「最近、かかる人多いよ」という声を聞く。
日本にいると、あまり身近には感じない病気であり、情報も
少ないことと思う。逆に、ベトナムでは、要注意の病気といえる。

日本人がベトナムの医療現場を知る機会もなかなかないと思うので、
今回は私の体験を書きたいと思う。
なお、様々な体験をしたので、今回1回では書ききれず、
次回に続くことを最初にお断りしておきたい。


まず、デング熱について簡単にご説明したい。
これは蚊が媒介する病気で、ウィルスを持った蚊に刺されることで
感染する。潜伏期間は4~7日間程度とのことである。
発症すると、突然40度近い発熱に襲われ、頭痛、筋肉痛、関節痛、
倦怠感なども伴う。悪化した場合は血小板が減り、出血することも
あるようである。
死亡率は低く、1~2週間で回復し、後遺症も残らないということだ。


私がどこでウィルスを持った蚊に刺されたのかは不明確だが、家か
業務中に立ち寄った工事現場ではないかと考えている。

発症は、確かに突然であった。
その日、朝から体調に異変はなく、夕方まではごく普通であった。
しかし、17:00頃から急激な胃痛に襲われ、頭がフラフラする
ようになった。歩いていて、よろよろとしてしまうのだ。
同時に、頭痛も始まったが、最初は大したことはなかったと記憶している。
19:30頃、フラフラしながらも家に帰り着き、ベッドに横になると、
それから急激に体調が悪化し始めた。
胃痛に加え、頭痛が激しくなり、熱が38度強まで上がり、腰から背中に
かけて、激しい筋肉痛に襲われた。特に頭痛と筋肉痛が耐えがたく、
その日の晩は、ほぼ一睡もできなかった。
私の場合、熱は結局、40度には達しなかった。


さて、ここからが本番の医療体験である。


翌日の朝、さずがに会社を休み、私がよく行くインターナショナル
ホスピタルに行った。血液を採取し、午後に検査結果を聞きに行くと、
デング熱であると診断された。
この病気は、日本であまり見られないため、医師でさえ病気の原因がわからないことも
あるようだが、こちらではよくある病気であり、まずはインフルエンザとデング熱を疑うようだ。

病院では、まずは安静にしておき、2日後にまた検査に来るようにと
言われた。薬も最低限の量だ。私は言われるままに帰宅し、安静にした。

ちなみに、このときの診察料は約150USD。
保険がきかないので、高い。
私を診察したのはベトナム人医師だったが、外国人医師に診察して
もらうと、この診察料はこの倍ほどするという。

夕方、妻が帰ってきたので、デング熱と伝えると、妻は、この病気にかかった人は
家にいてはいけないという。入院して点滴を打つべきというのだ。
そこで、家の近くの救急に駆け込むことにした。

しかし、その時点では、まだ熱は38度半ばであったため、相手にして
もらえず、レントゲンや採血だけして、そのまま帰されてしまった。
ただ、ここは思いっきりローカルの病院である。
診察料は何と、約3USD。昼間の病院との差が大きすぎて驚いた。


帰宅後にも驚くことがあった。
日本では、熱がある場合、布団をかぶって汗をかきつつ、氷嚢などで
頭を冷やすことと思う。しかし、ベトナムでは、全く逆なのだ。

体温が高いので、布団をかぶらずに体を冷やし、頭には温タオルなどを
あてて暖めるというのだ。そのため、寒気がするが、ふとんをかぶらせて
もらえない。さずがに温タオルは断ったが、この違いには驚いた。
なお、この日も頭痛が激しくてしんどかったのだが、日本から持ってきた
愛用のバファリンを飲んだところ、かなり楽になった。日本の薬の
偉大さを感じたものである。しかし、筋肉痛はどうにもしがたく、
この日もほぼ一睡もできなかった。


翌日は土曜日であった。
そこで、昼間に妻と一緒に別の病院の救急に駆け込んだ。
ここはホーチミン市でも有名な病院である。

タクシーで行く途中、妻が私に言う。
病院に着いたら、いかにも重病なふりをしてくれと。
ベトナムの医師は、見た感じ大丈夫そうだったら、まじめに診断を
しないというのだ。


さて、病院に着くと、早速たらい回しにされた。
行くところ行くところ、全てで「あっちのどこどこへ行け」と言われ、
行ってみると誰もいなかったり、「他に行け」と言われたりである。
そして、結局、一番最初に行った部屋に戻り、そこで診断を受ける
ことになった。最初から、ここで診断をしようと思えばできたのである。

病気の上、たらい回しにされ、私は本当にしんどくなっていた。
医師がいくつか問診し、ベッドに寝かされた。
熱を測るために医師が体温計を持ってきたのだが、私のTシャツの襟の
部分を力任せに引っ張り、体温計を脇の下にねじ込む。
そんなに引っ張ったら、襟が伸びるだろうと思うのだが、医師に
とってそんなことは関係ないようだ。

そして、ものの1分程度で、今度は看護婦がやってきた。
やはり、私のTシャツの襟を力任せに引っ張り、体温計を抜き取る。
そして、何も言わずに無愛想に立ち去った。

熱は36度強。明らかに、体温計が上がりきっていないが、そんなことは
関係ないようだ。症状が軽いとのことで、帰らされてしまった。
頭痛がひどいので、せめて頭痛の薬をくれと頼むと、「この病気は
頭痛がするものなんだ」とのことで、やはり相手にしてもらえなかった。


まだ病気は発症したばかりである。
この先、どうなることか・・・と不安を募らせながら、帰宅の途についた。

次回は、まだまだ続く医療体験の続きをお伝えしたい。



 




 


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