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2011年12月26日 【ベトナム】
ベトナム医療体験②

Brain Works Asia co.,Ltd
田口 秀一


前回、土曜日に救急に駆け込んだものの、相手にしてもらえず、
何の処置もされないまま帰宅したことまでをお伝えした。
今回はその後の展開を記していく。

帰宅後、やはり夜になると症状が更に悪化してきた。
熱はついに39度を超え、相変わらず筋肉痛も激しい。
この病気にかかって以来、毎日ほぼ寝られないままである。


日曜日、初日に行ったインターナショナルホスピタルに再検査に行った。
この日の検査は重要で、血小板が減っていた場合、重症化する恐れがある。
日曜日は診察料が更に高いのだが、重要な検査とあっては仕方がない。
この検査は、前日でも翌日でも駄目で、この日でないといけないとのことだ。


診察してくれた医師は、初日とは別の医師(女性)である。
そして、その医師と話を始めてすぐ、私は大きな不安に襲われた。


医師は私のカルテを面倒くさそうに見ながら、
カルテを見ればわかるような質問を次々としてくるのだ。
前回、いつ来たの?そのとき、どうだったの?という具合である。
重要な検査の日にこれでは、果たして正しい処置をしてくれるのかどうか、大いに不安である。
しかも日曜日は日本人の通訳者はいない。
私はたまらず、救急日本語ダイヤルに電話し、大きな不安に駆られていることを伝えた。
対応してくれた人は、「うーん、困りましたね・・・」と言った後、
かけ直すと言って電話を切った。


しばらくして、その人から電話があった。
「何も心配ありません。先生は、よく理解しておられます。」
と言うのだ。
一体どういうことなのか。とてもそうは思えない。


電話を切った後、いぶかしがっている私の側に、先ほどの女医が来てこう言った。


「なぜ、日本人に電話したの。」


明らかに怒っている。そして、そのまま立ち去り、医師控え室に消えた。
その後、別の男性職員が来て、私の採血をすると言う。
その男性職員は、私の採血をしながら、こう言った。


「先生(先ほどの女医)は、あなたが苦情を言ったから怒ってしまい、
もうあなたの診察をしたくないと言っている。」


もう何とも言いがたい、子供みたいな発想である。


幸い、採血の結果が出るまでに1時間程度かかる。
先ほどの女医の出番はその後である。1時間も経てば、怒りも多少収まるかもしれない。
私は、とりあえず待つことにした。


1時間後、診察室に通された後、先ほどの女医がやってきた。
怒りは収まっているようである。
しかも、明らかに先ほどまでの面倒くさそうな態度が消え、丁寧に説明してくれている。
私の状況についても、理解されているようだ。
恐らく、この1時間に反省し、カルテを見直したのであろう。
苦情を受ける前にやればいいのに・・・。


前日のローカル病院の件といい、明らかに医療「サービス」というには
程度が低すぎる、これがベトナムの医療現場の実態であろう。
そして、この後私は更に、ベトナムの生の医療現場を体験することになる。


それは今後の話として、ともかく、この日はそのまま帰宅した。
現状では、入院の必要はなく、薬を飲んで様子を見ることになったのだ。


帰宅後、ずっと家で安静にしたまま、定刻になると薬を飲む。
相変わらず、頭と背中と腰が痛く、とても寝ていられない。
しかし、起きると大きな倦怠感があり、座ってもいられないため、
時々起きて体を伸ばしたりしては、また寝るということを繰り返す。


繰り返しになるが、デング熱がこんなに大変な病気だとは思わなかった。
ただ、実は、弊社ではこの後も何名かがデング熱にかかってしまった。
今、ベトナムではこの病気にかかる人が多いという。
私はこの後、症状が更に悪化して入院してしまうのだが、
他のスタッフは入院もせず4~5日程度の自宅療養で復帰した。
どうやら私は重症化した類のようである。


なお、弊社のあるスタッフは症状が悪化した際に入院しようとしたが、
ローカルの病院に断られてしまい、入院できなかった。
インターナショナルホスピタルでは、
1泊あたり200USD近くもかかるため、入院を断念して自宅療養した。
結局、そのスタッフは重症化せず、早期に復帰できた。


私の場合、ベトナム人の妻がいることもあってか、
うまい具合に?ローカル病院に入院できた。
次回は、日本人ではなかなか体験できないであろう、
ローカル病院の入院生活について触れてみたい。



 




 


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