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2012年1月19日 【中国】
「距離ゼロ」サービスステーション

北京華通広運物流有限公司
柳田 洋






先日、北京の街を歩いていたところ、写真のような建物を見つけました。


建物の名前は「零距離」服務站(「りんじゅぃーりー」ふーうーぢゃん)。
「距離ゼロ」サービスステーション、という意味です。
この建物は、区役所の出張所に当たる街道弁事処(じえだおばんしーちゅう)の
更に末端に位置し、文字通り「距離ゼロ」で地域住民密着の行政サービスを提供する
サービスステーションなのです。


従来、中国のお役所は日本と違って非常にエラそうでした。
北京だと2-3km圏内毎に1つある街道弁事処まで行って、
長時間順番を待たされ、ちょっとでも書類の不備があると、
突き返されて、また列の一番後ろに並ばなければいけない、という
服務(サービス)のかけらもない、まさに「お役所仕事」を絵に描いたような状態でした。


しかし、最近は国民の発言権の増大により、
お役所も「おまえら手続きしたかったら、街道弁事処まで来て並んでろ!」
という態度ではなくて、逆にお役所側から地域住民と
「距離ゼロ」のところまで出向いていって、そこできめ細やかな行政サービスを提供する、
という形に変わってきているようです。


こうしたサービスステーションを増やせば、行政サービスは向上しますが、
当然、行政コストは膨らみます。
しかし、今の中国政府は、国民が喜んでくれて、国内情勢が安定するなら、
いくらカネがかかっても、何でもやるのです。


日本では行政コストの削減のため、市町村役場やその出先機関である出張所が
どんどん統廃合されているようですが、中国では中国独自の事情により、
それとは全く逆のことが行われているのです。




 


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