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2012年2月23日 【中国】
マンホールから立ちのぼる湯気

北京華通広運物流有限公司
柳田 洋






私の家の近くの道路です。
毎年、冬になると写真のように、マンホールから湯気が立ちのぼります。


昔、冬のニューヨークシティが舞台のアメリカ映画の中で、街中のマンホールから
湯気が立ちのぼっているシーンを見て、「ニューヨーク、何だか、カッコいいな」と
思ったことがあるのですが、いざ、家の近所で立ちのぼられてみても、
あまり大きな感動はなく、憧れるほどのものでもなかったことが、わかりました。


この立ちのぼる湯気の正体は、
暖気(ぬぁんちー)で使われた熱水の排水から出た湯気であるようです。
暖気とは中国北部特有の暖房方法で、
各地区にある供熱工場で石炭を焚いて暖めた熱水を、
街中に張り巡らされたパイプラインで住宅やオフィスビルに供給するものです。
住宅やオフィスビルにはその熱水が通る表面積の大きい暖房機が
各部屋に設置されており、冬の間はそれで暖を取るのです。


この暖気の威力は強烈で、これがあれば、マイナス10度まで下がる北京の冬でも、
家の中では半袖半ズボンで過ごすことができます。
中国ではこの暖気システムがあるのは、
冬の寒さが厳しい長江より北の中国北部だけです。
このため、長江のすぐ南に位置する上海に引っ越した人に言わせると、
「暖気がないので、冬の家の中は北京よりもむしろ寒い」のだそうです。


さて、このマンホールから立ちのぼる湯気。
ニューヨーカーのように湯気の中を突っ切って歩いても、
湯気自体は無臭ですので、体には害は無いと思われますが、
これからはあまりマンホールの上は、歩かない方がよさそうです。


今年の春節の期間中、中国湖南省で、
マンホールのそばで爆竹に火をつけた男性が、
爆発で20kgもあるマンホールのふたとともに、
2mも吹き飛ばされ、重傷を負う、という事件が起きました。
この事件は日本のニュースでも強烈な映像とともに報道されましたが、
原因はマンホールの中にたまっていたガスに爆竹の火が引火したためである、とのことです。
http://v.youku.com/v_show/id_XMzQ4MDUxMTAw.html


中に何があるかわからないマンホール。
北京の冬の風物詩である、マンホールから立ちのぼる湯気は
遠くから見ることにして、道を歩くときには、
なるべくマンホールがあるところは避けて通った方がよさそうです。

 


 


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