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2012年4月5日 【中国】
マンション買いませんか?

北京華通広運物流有限公司
柳田 洋





「マンション買いませんか?」
毎日、私の家の近所の交差点の角に、物件ボードを持ってきて、
道行く人にこう声をかけているのは、不動産仲介会社の営業マンの人たちです。


2007年の不動産バブルのときには、不動産仲介会社の営業マンは、
お店の中で待っていれば、お客が向こうからやってきました。
当時は早く買えば早く買うほど、
不動産価格上昇の恩恵に浴することができましたので、
営業マンはお客に対して、
「明日になったら、もうあるかどうかわかりませんよ!」というような
高飛車な態度でマンションの販売をしていました。


それが、中国政府の不動産価格抑制政策の影響で、
不動産価格が下落に転じた昨年からは、
お客は不動産価格がどこまで下がるか見極めようと、
誰も急いで買う人がいなくなり、不動産取引は急減、
たくさんの不動産仲介会社が倒産しました。


このため、生き残った不動産仲介会社の営業マンも
お店の中で待っていてはお客が全く来ず、
成約しなければ歩合給がもらえませんので、
写真のように、物件ボードを持って街に出て、
道行く人に片っ端から声をかけて、
マンションの購入を勧めるようになりました。


道行く人で「そう言えば、ちょうどマンションが欲しかったのよ~」
という人は、ほとんどいないと思われますが、
万に一つの可能性しかなくても、
それを求めて、積極的に営業に出なければ、
営業マンは生活していけないのでしょう。


不動産業界で働く人たちに、
深刻な影響を与えている中国政府の不動産価格抑制政策。
しかし、温家宝首相は、
先月の全国人民代表大会(全人代)の閉幕後の記者会見でも、
はっきりと不動産価格抑制政策を継続する、という発言をしています。
中国不動産業界冬の時代は、もう暫く続くことが予想されます。



 


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