アジアブログ

 

 

2012年3月30日 【アジア全般】
オーガニックをアジアで実践する農業の六次産業化

ブレインワークスグループ CEO 
近藤 昇



日本人は言うまでも無く、アジアの発展著しい国の人々も食の安全安心にはナーバスだ。
とりわけ富裕層の人たちは『健康に良い』というポイントも重要視する。
日本では今、TPPなどがきっかけで「日本の農業をどうするか?」
という深刻な問題に関心が向き始めた。
もともと、最近の日本人は農産物に対する要求はシビアだ。
中国やアジアで作られた野菜や果物は、農薬などの問題から敬遠しがちだ。
それに加えての健康志向ブーム。
“安心、安全、美味しい、美しい”に加えて“健康にも良い”。
これだけのものを作り、提供できる農業とはなんぞや、ということになる。

加えてもっと大きな問題も考えておく必要がある。
世界人口が増大する中、新興国の食欲はますます旺盛になる。
豊かになれば、食に対する欲求が高まり、おのずと良いものを求めるようになる。
世界的な食糧不足も極めて深刻な問題になりつつある。
農業を産業として成立させるための取り組みは、
オランダなどのヨーロッパが進んでいる。
その中でも、オーガニック農業は消費者が一番関心を寄せているといっても過言ではない。

今日本では、農家を強くするため、農業を産業として発展させるために
農業の六次産業化を推進する声は大きい。
私の考えでは、いくら頑張っても日本の中だけでは農業の再生は困難だと思う。
アジアと連携、共存してこそ日本の食も安定的に確保できる道がある。
そんな訳で、すでにアジア各地の農業の現実を数多く見てきた。

今月の中旬には、タイでオーガニック農業ビジネスを行う
日本人の経営者、大賀氏の農場をビジネス視察で訪問した。
日本人に加えてベトナム人の経営者も含めた変わったメンバー。
ベトナム人の経営者は、農業ビジネスに関心のある人が多い。
日本人よりも遥かに農業問題に関心が強いのだ。
単純に言えば、食の確保なくして国は成り立たないということがわかっている。

大賀氏の農場は、バンコクから車で整備されたハイウェイを約2時間半走った
国立公園の山脈が連なる山のふもとにある。
標高は400m。
農業の経験はなかった大賀氏だが、10年以上前に単身でタイに乗り込んだ。
環境にやさしい農業ビジネスを志し、何もないところからスタートした。
まさしくベンチャーである。
苦節数年、試行錯誤を繰り返して、モロヘイヤ麺の大ヒットをきっかけに
オーガニック農業ビジネスを軌道に乗せたのである。
今回のような視察者に対してもそうだが、日本におけるセミナーの場でも
独特の語り口で農業のあり方や新規ビジネスにトライすることの重要さを力説される。
その語り口は、まさに“熱い”の一言だ。




  

  

  


オーガニックの野菜や果物の育成と販売だけではなく、
バンコクの銀座といわれる場所に、
オーガニック食材のレストランも1年前にオープンした。
体に良い・健康に良い野菜はどちらかというと料理としては、
そんなに美味しくないケースが多い。
大賀氏は、いかに見た目も味も美味しくするかを徹底的に追求している。
そのレストランの1階では、
オーガニック野菜やオーガニックで製造したシャンプーや石鹸、
酵素飲料、定番のモロヘイヤ麺などが所狭しと陳列されている。
1度、店に足を踏み入れると、楽しくなり思わずあれもこれも買ってしまう。
私達一行は、ホーチミンへのお土産に、ダンボール一箱ずつの買い物をした。
後になって思った。
大賀さんは実にうまい商売をされているなと。
農業の六次産業化を既に実践しているし、
マーケットも地元タイだけではなく、米国など世界で勝負している。



  

  


ほろ酔い気分の参加者の頭は、ワクワクするようなビジネスアイデアで一杯。
ベトナムでオーガニックをテーマにした農業、レストラン、ショップの運営など。
皆一様に、いい視察だったと大満足だった。

最後に、オーガニック農業の可能性と役割について、少しだけ触れたい。
あくまでも私の独断と偏見だが、オーガニック農業は理想的な農業といえる。
この分野を成功させるのは簡単なことではない。
また、世界的な食糧危機に対しては量の確保も不可欠だ。
そもそも、農業は農家が百人いたら百通りのやり方があるとも言われる。
農業のやり方には違いがあっても、
農業が今後の人類にとってもっとも大事な産業のひとつである。
こういう共通の“認識”と“想い”があれば、
農業は素晴らしく、とても魅力的な職業になっていく。
そして、農業の大切さ、素晴らしさをアジアと日本で共有できれば、
本当の意味での共存ができると思う。



  






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