アジアブログ
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2011年2月28日
【ベトナム】
星越ベトナムレポート 第6巻
村上 博治
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1か月の経済の動き
① 世界経済
中東情勢の悪化をうけて原油価格が一時100ドル/バレル台にまで上るなど、景気悪化が懸念される段階になってきつつあります。特にリビアではカダフィ大佐が徹底抗戦を宣言するなど短期的には混乱の収拾が望めない情勢です。マーケットの悪化は避けられないと思います。
この中東情勢悪化の発端となったのはFacebookと言われるSNSへの書き込みですが、現在米国ではこのようなWEB2.0関連企業の株価が好調を続けています。従来の携帯電話やノートPCからスマートフォン、タブレット端末(iPadなど)へのシフトがこれらの企業に寄与しており、今IT業界はかなり面白い変革期を迎えているといっても過言ではないでしょう。Facebookは500億ドル、Twitterは100億ドルと高い時価総額で評価されており、2012年内に株式公開の意向もあるといわれていることから、IT株ブームが再燃する可能性もあります。
② ベトナム経済
テト前の旺盛かつ堅調な消費を受けて、1 月の財貨・サービスの小売販売は対前年同月比 22.1%増の 149.8 兆ドンとなりました。物価上昇分を除いた実質伸び率は同 8.9%増です。セクター別では構成比の約 3 割を占める民間企業が同 28.0%増、約 5 割を占める個人は同19.2%増となりました。また、業種別では約 8 割を占める商業が同 23.1%増と好調でした。ただ、この冬は日本も寒かったですがベトナムの北部も例年になくかなり寒く、その影響から家畜が3万頭程度死亡したと言われています(政府発表がこの数字なので、おそらくもっと死亡しているのではないかと)。ベトナムの輸出は農作物がメインなので、影響が懸念されます。
③ 今月の話題
日本の株、為替マーケットは現在一息ついています。これからの予想としましては、この二つのマーケットの相関が以前より低くなると思います。
円安、株高がセットでしたが、日本の政治的混乱から、円安、株安、となるかもしれません。日本人や投資家に円高耐性感が、ついてきたと思います。少し前まで1ドル80円で日本は大変なことになると騒いでいましたが、今は誰も言わなくなりました。
④ 星越ベトナムファンド
予想通り旧正月明けに為替調整があり、政府の新政策への恐れからマーケットは軟調です。現在半分近くキャッシュ化してますので、この安くなったところは買いたいところです。
金融、インフラ関連のポジションを増やす予定です。
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経済政策提言
今月は、街角レポートに変わりまして、新政権が悩んでいるインフレ、ドン安対応に対する私の政策提案を考えてみました。やや暴論に近いかもしれませんが、ベトナムで生活している中で、肌で感じたものをベースにしたものです。
1 ドルペッグを廃止し通貨バスケットを導入する。現在の米ドルだけでなく、ユーロ、円を為替レート算定に組み込む。これは国民が米ドルをタンス預金している意味合いを少なくし、ベトナムドンを安定させる可能性が大です。
2
デノミの実施です。市中では100万ドン札の発行の噂が出ています(中銀は否定)。しかし、そうではなく100分の一のデノミを行い、通貨単位を下げるべきです。今のままでは心理的にドンが非常に安っぽい通貨に感じられます。1US$=200と20,000とでは心理的な割安感が全然違います。
3
中国からの日用品に高関税をかけて、ベトナム国内企業を育成することです。現在ベトナムの中で売られている日用品はほぼ中国からです。これでは貿易赤字は解消しません。国営企業を早く民営化しベトナム人が使う日用品等は、ベトナム国内で調達できるようにすべきです。
1-3は副作用もある劇薬です。でもやる価値はあると思っています。
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