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2012年5月17日 【中国】
雷峰に学べ


北京華通広運物流有限公司
柳田 洋




 

写真は私の家の近くの公園に掲げられていた横断幕です。
「雷峰に学ぶ活動を深く展開する」と書いてあります。


雷峰は人民解放軍の一兵士です。
新中国成立以前に小作農の息子として生まれ、
赤貧洗うが如き貧乏の中で辛酸をなめつくし、
やがて人民解放軍の兵士となります。


彼は、配給された食糧を
困っている人に分け与えたり、
貯金や給料を災害の被災者に寄付したりと、
自己犠牲的な精神で社会貢献を続けましたが、
1962年、倒れた電柱の下敷きになって、
22年の短い生涯を終えます。


その後、大躍進政策の失敗で、
失脚寸前だった毛主席は、
生前、毛主席を神のように崇めていた
雷峰を引っ張り出し、
「雷峰に学べ」というプロパガンダを展開、
見事復権を果たして、文化大革命に
突き進んでいくのでした。


それから50年。
雷峰は中国の社会が乱れる度に、
学ぶべき対象として引っ張り出されてきました。


今回も中国共産党は、
「冷漠社会(るんもーしゃーほい)」
と呼ばれる、他人に冷たい社会や、
拝金主義に毒され中国共産党の腐敗幹部に対して、
雷峰の自己犠牲的な精神を学べ、と言いたいのだと思いますが、
中国の社会が乱れる度に引っ張り出されるのでは、
雷峰もたまったものではありません。


中国の人たちが助け合いや、自己犠牲的な精神を発揮して、
雷峰が天国で安らかに眠れる日が来るのは、
いつになるのでしょうか。



 


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