2012年7月5日 【中国】 食べたら捨てましょう
北京華通広運物流有限公司 柳田 洋
写真は北京の麦当労(まいだんらお、マクドナルド)の お店にあったポスターです。子供がゴミをゴミ箱に捨てている イラストとともに、「食べた後のゴミは、自分で捨てましょう」 と書いてあります。 私が北京で始めて麦当労に行ったときに驚いたのは、 食べた後のゴミを片付けなくてよかったことです。 日本のマクドナルドでは、上陸当時からお客さんが 食べた後のゴミを片付けることになっていましたが、 中国では、食べた後そのままにしておくと、ゴミ片付けの係の人が 片付けてくれるのです。 以前、私は中国人の友人と、麦当労で食事をしていたときに、 「ちょっとの手間なんだから、食べた後のゴミは、みんな 自分で片付ければいいじゃないか」という話をしたことがあります。 それに対して、彼は、「そんなことをしたらゴミ片付け係の人の 仕事がなくなってしまう。だから僕たちは あえて片付けないんだよ」と答えました。 この答えを聞いた当初、私は「なんて傲慢な考え方なんだ」 と憤慨したものですが、仕事をみんなでシェアして失業者を減らし、 社会を安定させなければならない、という中国の事情が分かってくるに従って、 「そういう考え方も一理あるな」と思えるようになりました。 しかし、時代は流れ、今や中国のブルーカラーは引く手あまた、 賃金も毎年20%ずつ上昇しています。そんな状況の中で、麦当労も ゴミ片付け係の人を雇う余裕などなくなってしまったのでしょう。 1人1人が生み出す付加価値を上げて、来るべき少子高齢化社会を 乗り切ろうとしている中国。そんな状況の中で、今後中国では、 麦当労に限らず他のレストランでも、「お客さんにできることは お客さんにしてもらって、なるべく従業員を減らす」というスタイルが、 主流になっていくのではないでしょうか。
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