アジアブログ
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2009年2月5日 【ベトナム】
ここで暮らす外国人だからでき得る事
郷 康晴
ベトナムで既に操業している外資系企業で、言語や現地の市場に明るい事が大きな要因で必然的に現地社員に任せることの多い「購買業務」で高確率(現在までの弊社の調査では100%)で発生している「キックバック」に対する現地人の捉え方がよく分かる一例として、私が某日系工場に現地雇用社員として勤務していた頃の一話をご紹介します。
・・・某日系企業に勤務していた頃、仲の良い運転手との会話。
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運転手:
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「郷さん、新しい部署を立ち上げたんだって? 何をする部署なの?」
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私:
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「一言で言うと購買かな。 今度から国内での買い物は全部僕の部署でするんだよ」
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運転手:
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「じゃあ、郷さん金持ちになるね」
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私:
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「昇格したわけじゃないから僕の給料は変わらないよ」
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運転手:
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「給料なんてどうでもいいよ。 供給業者からたくさんお金をもらえるから」
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私:
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「…いやいや、“それ”をさせないための部署を立ち上げたんだよ」
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運転手:
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「どうして? 郷さんは何のために働いているの? ベトナム人は“それ”があるから外資系企業で働くんだよ。 そのために高い授業料を支払って外国語の勉強をするんだ。 チャンスを生かして給料以外に収入を得るのは当然じゃないの?」
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私:
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「会社から給料を貰って働いているのに、どうして給料以外に会社から収入を得るの? “それ”は犯罪だよ。」
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運転手:
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「犯罪? 何で? そんな法律どこにもないよ。 だって皆…」
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私:
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「ストップ!! もういい、違う話をしよう。」 ・・・・・
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ここベトナムでは個人の購買においても販売店が紹介者へ謝礼を支払うのが常であり、民営、国営、外資を問わず、企業全般における購買業務でも、供給業者が購買担当者へキックバックを支払うのが常識となっており、通常は供給業者が企業に対し提出する見積書の価格に既に含まれています。
この事から、多くのローカル企業では民営、国営を問わず、キックバック対策もしくは私利を目的として経理責任者、購買責任者、総務責任者に親族を起用しています。
外資系企業においては、上記の事柄に加え、管理者が外国人でありベトナムの市場価格に関する知識が薄い事や、給与額が現地社員と大きく違う事などから、本来「会社 対 会社」である筈の購買業務が「ベトナム人 対 外国人」という構図になってしまう事が多く見られ「定価内のキックバックを黙認」していると、年月が経過するにつれ「定価+担当者の取り分」と、悪い方向に発展して行き、結果会社から不当な利益を得る事を目的とした「裏の組織」が構築されてしまうケースが多く見られます。
そのため、現在ベトナムで操業している外資系企業で既に発生してしまっている「負の連鎖」を引き起こさないためにも、立ち上げ当初から「我社はキックバックの受領を黙認しない」という姿勢を前面に強く出すことが必要とされます。
ベトナム人は我々日本人と受けてきた教育や生きてきた環境が根本的に違います。 先の一例に出てきた“それ”は既に“ベトナムの常識”です。 彼ら現地社員の「はい! 任せて下さい! 頑張ります!」は、「有難う御座います! 確かに受注いたしました!」なのだと言っても過言ではありません。 彼ら現地社員にすると“それ”は誰に後ろ指を指されることの無い“立派なビジネス”である、とご認識下さい。
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