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2009年2月13日 【タイ】
タイ経済の信頼回復に向けて
~前編 アピシット・ウェーチャーワ新首相基調講演より~


より規制が少なく透明性の高い
ビジネス環境構築を目指す
政府の取り組み

アピシット・ウェーチャーワ新首相は“タイの政情を安定させ、信頼を回復するのが急務”とし、就任以来1カ月で一定の成果が上がっているとその実績を強調した。

日本とタイの交流は、600年前にさかのぼるといわれている。1887年(明治20年)9月26日、「日暹(にちせん)修好通商に関する宣言」(日タイ修好宣言)により、正式に国交が開かれて以来、日本とタイ国は友好関係を維持している。「タイに進出している外資企業の40%が日本である。現在1,000以上の日本のプロジェクトに対して1,100億米ドルもの優遇対策をたてており、日本企業に対するタイ国の大きな期待をしています。今後も外国人投資家にとってやさしい国を目指します」とアピシット・ウェーチャーワ新首相は語る。

2008-2009年、BOI(タイ王国投資委員会)は、次の6業種に対し、特別投資奨励策を打ち出した。

1.省エネ・代替エネルギー関連事業

2.ハイテク事業

3.環境配慮型材料や製品の製造

4.政府によるメガプロジェクト関連事業

5.観光関連の不動産事業

6.農作物を原料にした事業

その恩典は、法人税を8年間免除したり、その後も5年間50%の減税をしたり、輸送費や電気料金の2倍を課税所得から控除したり、設備設置費や建設費の25%を純利益から控除したりするなどである。

また、国内の中・長期的な景気刺激対策として、職業訓練を実施や低所得者への現金の支給、6ヶ月間の公共利金の割引などの実施を決定している。







今後に可能性を感じる
農業をベースにした産業と観光業

近年めざましい経済成長を遂げてきたタイは、アジアでも屈指の農業国である。タピオカ、ゴム、米など輸出指向性の高い農業とアグリビジネスの今後の活動と発展が注目されている。アピシット・ウェーチャーワ新首相は「特に農産物を利用した代替エネルギー分野には多いにその可能性を感じている」と語るように、エネルギー消費構造は代替エネルギーへのシフトが続くものと予測され、農業セクターの生産拡大が、タイ経済の最大の牽引役になると期待されている。

また、観光業についてタイ中央銀行は、昨年11月に起きた空港占拠で数千人が足止めされたことが影響し、2009年の観光客数は、前年度比約9%減の1280万人になると予測している。このような状況の中、観光客が毎年100万人を超え、そのシェア率がマレーシアについで第2位である日本に対する期待は大きい。空港占拠問題での教訓を生かして、空港の検問所を増設したり、スカイトレインなど空港からの移動手段を増やしたり、空港警備を強化したり、さまざまな対策を立て安全面の強化を図っている。さらに、スポーツ施設をはじめとする観光スポットやインフラの整備、3ヶ月の無料観光ビザの発行、国立公園の入場料を無料にするなどの対策を立てた。

ほほえみの国「タイ」の信頼回復とさらなる発展へ向けて動き始めている。



 
 


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