2009年3月4日 【ベトナム】 常識…日本VSベトナム 郷 康晴 そんなことしたら会社が潰れてしまう???
弊社では、現在既に進出している外資系企業で実施されている現地調達業務の調査改善業務の他に、製品やサービスの検索、適正価格での提供なども行っているのですが、今回はその中から供給業者との間の話を紹介します。 お客様より依頼された“供給業者検索”業務実施中の出来事。弊社が窓口となって見積もりを入手したローカル業者から弊社のベトナム人スタッフに「キックバックするから是非私達から買って下さい」としつこく電話が来ていました。内容はこうです。 業者「あなたの取り分は既に見積もりに入っています、10%です。」 スタッフ「でも、それだと他社より高くなってしまうため、御社からは買えません。」 業社「では、価格を下げます。その代わり品質も下げていいですか?」 スタッフ「それも困ります。品質は日本人の上司がうるさいですから。」業者「あなたは幾ら欲しいんですか?どうしたら買ってもらえますか?」などなど …あまりにもしつこく電話が来るので、私自らそこの業者に行きました。 私「電話を横で聞いていましたが、どうしてキックバックでは無く、品質と価格で勝負しないのですか?」 業者「そんなことしたら会社が潰れてしまう。いくら品質が良くても買ってもらえない。やはり担当者にメリットが無いと。」 私「どうしてですか? 供給先を紹介する私が“何も要りません。私達の顧客が要求する物を適正な価格で提供して下さい”とお願いしているのですよ。」 業社「分かっています。しかし、やはり作業をするのは現地スタッフなので、いくらいい物を供給していても、彼らに見返りが無いと言い掛かりをつけられ、供給元を替えられてしまう。 日本人管理者は自社のスタッフを信用してしまい、私達が何を言っても聞いてくれませんから…。」 私「今、あなたから教えて頂いたことは、私から先方の日本人管理者へきちんと伝えます。ですから、もう一度見積りをお願いします。私達は何も受け取りません。私達の要求を満たす製品を、適正な価格を策定して見積もりを再提出して下さい。」 …社に戻ると、業者から「どうして日本人に言ったの?もう御社には製品を売ることはできません。」という内容の電話があったとスタッフから報告を受けました。でもこの事件、決して業者を“悪”だと言い切れないのです。そうしないと商売が成り立たない、というのが彼らの一般的な考え方なのですから。 言い換えると、現地、外資を問わず企業、特に製造業において購買を担当する現地人社員にとって、自分が検索した供給業者からキックバックなどの何らかの見返りを受けるのは常識なのです。最悪の場合、担当者個人では無く、会社内に不当な利益を得るための現地人による裏組織が構築されていて、会社の全現地人幹部に分配されていることもあります。 もう一度言います。決して、業者が“悪”では無く、当然のことのようにキックバックを要求する“購買担当者”が“悪”であり、更にはその事を知っていながら黙認してしまっている“外資系企業の外国人管理者にも責任がある”のではないでしょうか?
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