アジアブログ
|
  |
|
 |
 |
 |
 |
2009年3月13日 【シンガポール】
第一回;「多民族国家と日本」
フランシス 陽子
ここシンガポールは多民族国家である。最近では何処に行っても色んな民族が集まって共同生活しているが、特にこの国は、全ての民族が仲良く暮らす優良な国家であると言えるだろう。近隣諸国からは政府へのストライキやデモ行進、はたまた多民族国家にありがちな民族間の闘争や差別を良く耳にするが、この国ではさっぱりである。「デモするぞ」、「これは差別だ」と不平を言っている人さえ見かけない。何故だろう?在住47年の義理母曰く、「シンガポール政府に真っ向から対抗出来る人なんて誰もいないんだよ」。
確かにシンガポール政府は他国のそれと比べると、より「完璧」だと思う。例えば国民から文句が出そうな金銭絡みの問題、早急に策を練って実行に移し、国民に文句を言わせる隙を作らない。どこぞの政府とは大違いである。また法律も万全でシステマチック。悪いこと出来ないと思わざるを得ない。更にこのシンガポール、人口は400〜500万人と言われていて、東京都のそれに比べても全然少ないのである。そう考えると、シンガポールの総理大臣は東京都知事よりもずっと小さい規模の業務を管轄しているとも言え、「だからこの国は事が簡単に、完璧に進んでいくのは当たり前」と、私の友人が教えてくれた。
日本については様々な意見を聞くが、私は「単一民族国家」であると考える。この国家についてシンガポール人から良く聞くこと、「アジア人にとって、日本は旅行で行くところで、住むところではない」という考え方。
このシンガポール人の考えには2つの理由がある。まずは日本人に未だ残る(残っているかもしれない)固定観念。「日本では欧米人は歓迎されるけど、アジア人はあまり歓迎されない」と思われている。もう一つは言語や国家等、民族上の理由。「言葉が通じない」「日本の外国に対してある排他的な感情」等々。辛口な意見だが、多民族国家に住むシンガポール人が、単一民族国家の日本人に感じる一種当たり前の感情であり、逆から言えば、それくらいここは全ての民族と共同生活する考えが、当たり前のように浸透しているということではないだろうか。一種これはすばらしいことだと思う。あらゆる宗教や言語が集まって、問題なく仲良く暮らすのは決して容易ではないし、これを今の日本国家にやってくれと言っても無理であろう。日本だけではない、どの国家にとっても難しい課題なはずだ。
一つ断っておくが、シンガポール人は日本が大のお気に入りである。私が引っ越して来た6年前は、日本や日本のものと聞くと「高嶺の花」というイメージが強かったが、2年程前からシンガポール全体の物価が上がり、元々高かった日本料理や日本製の製品も彼らの選択肢の中に入って来たのだ。更にここ数年は為替の関係で日本に旅行に出掛ける人もグンと増えた。以前は遠く手の届かない国だったはずだった日本が急に間近に感じ始め、ここで日本に対して様々なコメントが増えて来たのは、お気に入りの日本に対する興味が今まで以上に深くなった証拠であると私は考えるのだ。
ビジネスに関していえば、日本人にとってはちょっと不利な感もある。何故なら、最近シンガポール人の中には、日本人が知らない日本を知っていたり、日本人よりも真剣に日本を学ぼうとしている人が沢山出て来たのである。その証拠として、ここで最近開店した某とんこつラーメン屋は、シンガポール人がオーナーだと聞いた。彼が実際日本に行って、ラーメンの一からじっくり学んで来たらしい。スープも自分で作るこだわりぶりで、毎日大盛況である。
さて、日本人はここシンガポールで何をビジネスにしようか。。ともあれ、シンガポール人がビジネスの為に日本を学んでいるなら、私達もまずはシンガポールを学ぶべきでは。。
|
|
 |
 |
 |
 |
|
著作権について
本サイト内の記事、コンテンツ類の無断転載、複製および転送を禁じます。このような運営の妨げになる行為に関しては、損害賠償を求めることがあります。