アジアブログ

 

 
 

2009年4月16日 【ベトナム】
皆が助け合って働く良い会社

郷 康晴

 用事があってある大手旅行会社(国営)に行きました。


  前日に確認したら、朝は皆8時出勤との事なので、8時に約束をし、スタッフが用事を済ませるまで私は外で待っていたのですが、いやぁ~来る来る、次から次と遅刻した社員が。8時を15分過ぎても出退勤管理器の前の列は続いています。そればかりか、ほぼ全員が手に朝食を持っている。という事は遅刻してきて、更にそこから優雅な朝食タイム…。


  その旅行会社には警備室の横に社員番号を入力し、指紋で識別するタイプの出退勤管理器が設置されていますが、機能はしていても役に立っているとは思えません。 見ていると、たぶん上司であろう男性社員が、若い女性社員に「君、今何時だかわかってるのか?」などと声をかけているのが見えますが、そういう彼も笑顔で一緒に列に並んでいる。更には、朝食でも買いに行くのだろうか?登録を済ませた後、社には入らずにそのまま外に出ていく社員もいる。しかし誰もそれを気に留めるようすは無い。


  …20分ほど経過し、用事を済ませたスタッフが出て来ました。


  私「この会社は8時出勤だろ?」 スタッフ「はい。でも昨日約束したお姉さんはまだ来てませんでした。」

  私「どうしようもないな。」 スタッフ「でも皆優しくていい会社ですよ。」 私「…」 スタッフ「同じ部署の同僚がまだ来ていないお姉さんの代わりに手続きをしてくれました。 皆助け合って仕事しているから良い会社だと思います。」 私「…」


  出勤時間に限らず、社内外への報告や、回答期限などについても同じことが言えます。弊社では、社内での報告、回答期限は私が直接指示を出す際に告知し、随時、進捗を確認しながら業務をさせているため、比較的期限通りに回答を得ていますが、社員を通じて外部に問合わせした際の回答は遅れる事が多く、社員に先方に問い合わせるよう指示すると、電話をかける際「すいません。日本人の上司がうるさいので期限は守ってください。」などと言っています。また、期限の前日に本当に明日回答を貰えるか確認するよう指示をすると「先方が気を悪くするので聞けません。」と、なかなか確認してもらえない場合もあります。


  日系企業で勤務していた時も、出勤時間や日本人管理者から直接された指示への回答など、目に見える規則は守っていますが、日本人管理者の目に付かない、現地人社員同士の約束事や供給業者との約束などは全くと言っていいほど守られていませんでした。


  それが要因となり、供給業者からの納品遅れ、回答の遅延などが発生しているのに、日本人管理者の目から見ると、駄目な業者、となってしまうケースも多く見られます。なぜなら彼らからの報告は「私は期日通りにしている。業者の対応が遅い」としか報告されないから。


  言い換えると、購買担当者にキックバックを渡さない供給業者に対し、故意に無茶な納期で発注書を発行し、納期遅れを出させ、日本人管理者に報告し、自分にメリットのある供給業者に入れ替える。そうされないために、購買担当者にキックバックを支払う業者も多く、やはりここでも“負の連鎖”が発生していて、このコストは全て製品価格に反映されています。


  そうなる事の無いよう、やはり日本人管理者の皆様にこの現状を知って頂き、何らかの対処法を取る事を推奨致します。




 


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