アジアブログ
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2009年6月5日
「急落するタイ人気の本当のところ」
ブレインワークスグループ CEO
近藤 昇
先日、バンコクを訪れたのだが、私の思い過ごしだろうか、心なしか以前の活気がなくなったように感じた。
日本のアジア進出が始まって以来、タイは常に有望な日本のビジネスパートナーとして注目されてきた。
しかし、最近は様子が変わってきた。
この1年間で考えると、伸長著しいアジア各国の中でタイだけが、期待値が一気に萎んだ国と言えるだろう。
昨年から、国際問題にも影響するレベルの大きな事件が2件も発生した。
詳細は、ニュースなどで確認していただくとして、ひとつは、昨年11月のバンコクのスワンナプーム国際空港での一週間以上の封鎖。
もうひとつは、今年の4月、パタヤで開催される予定だったASEAN関連会議の中止。
いずれも、反政府団体のデモなどが原因だ。
こういう衝撃的な事件が起こるとビジネスだけでなく、一般の観光客の心理にも相当マイナス影響があるだろう。
もし自分が観光で訪れていて、ある日突然空港が封鎖されたとしたら、ぞっとする。
折角のバカンスが台無しどころか、逆に相当なダメージを受けるだろう。
現地で活動する何人かの知人によると、このダブルパンチでタイの主力産業である観光業は大打撃を受けたと口を揃える。
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タイは、微笑みの国として特に有名だ。タイの人の微笑に接すると何故か癒されてほっとする。
実は、12の微笑みをタイ人は使い分けているといわれている。
ある意味では、日本人以上にデリケートに人に対してのかかわりを考えているそうだ。
巧みな心理学者といったら大げさかもしれないが、全ての彼らの微笑みには意図があるという。
単純に、おおらかな微笑の国民だと思っていたら痛い目にあう。
有名な話だが、仏教国であり、肥沃な大地、温暖な気候の中、食べるものには困る事はない。
あくせくビジネスをする日本人を見て、おおらかなるこの国の人々は首を傾げる。
「どうしてそんなに忙しいの?」
日本人は、なんと、納期、スケジュールと口うるさい国民かと思われている。
すでに、タイは海外の日本の重要な生産拠点として特に有名だ。
また、それに合わせてバンコクは世界有数の日本人が生活する都市としても有名だ。
そう言えば、数年前に初めてタイを訪れた時、日本と雰囲気がよく似ていると感じたことを思い出す。
車が左側通行というのも多少あるだろうが、日本でも定番のコンビニや飲食があちこちに存在するのも大きな要素だろう。
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実際、バンコク市内では多くの日本人に出会うし、日本食のレストランも相当ある。
聞くところによると、3年ほど前から、ラーメンブームが起こり、すでに200店舗を超える日本のラーメン屋がしのぎを削っている。いかにも、日本スタイルブームという印象は受ける。
話は変わるが、タイは親日国であるかのようにほとんどの日本人は思っている。
だが、実はビジネスレベルで考えると必ずしもそうではない。
外務省のある調査によれば、すでに、タイがビジネスパートナーとして期待する国では、日本より中国が上回っている。
タイの農業産業は盛んで日本も相当量輸入しているが、実は、主要取引先はヨーロッパである。
しかも、農業産業の仕組みもヨーロッパスタイルである。
他のアジアの新興国は一様に同じことが言える。
日本だけに相手が熱視線を送っていると思ったら大違いなのである。
相思相愛の関係再構築のためにも、こういうピンチの時こそ、日本人が積極的にタイに関っていく事が大切だと思う。
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