アジアブログ

 

 
 

2010年1月12日
ベトナムの交通事情から見る時代の変遷

Brain Works Asia co.,Ltd
田口 秀一



私がホーチミンでビジネス活動を始めて2年半になろうとしている。
イコール、それは私がベトナムで生活している期間だ。

はじめてベトナムに来たのは、その約1年前なので、今から3年半ほどさかのぼる。
まず、ベトナムを訪れて思ったことは、大方の人と同じだろう。
すさまじいバイクの群れを見て、何だここは!?と驚いたものである。
まだベトナムに来られたことがない方は、ピンと来ないだろうが、
大抵の人はそう思うのである。

10年近く前に台湾へ旅行した際にもバイクが多かった記憶があるが、その比ではない。
まさに、バイクが川のようになって流れており、
バイクに囲まれるようにして車が走っているのである。
日本では到底目にできない光景であり、話を聞いても写真を見ても
想像する範疇をはるかに超えている。
これだけは本当に、生で見ないとわからない。

そんなベトナムも最近は段々と風景が変わってきた。
車の数が急激に増えてきたのだ。タクシーの数も増えてきているが、
それ以上に、自家用車やレンタカー、大型車両が増えてきた。

3年半前は、バイクに囲まれるようにして走っていた車も、今では様子が異なる。
2車線あれば、片方が車用の車線、もう片方がバイク用の車線になっている。
んなに綺麗に走り分けされているわけではなく、
オートバイが車側の車線を走っていることも多いが、以前と比べれば、
大きく景色が変わっているように感じる。

交通渋滞の発生も顕著だ。最近では、車での移動は本当に時間が
読めなくなってきた。公共の交通機関が未発達のベトナムでは、それでも
車で移動するしかなく、これには本当に悩まされる。

大型車両の増加に伴う交通渋滞も、すごいものがある。
日中であれば、工業団地と市内の中心地を結ぶ道路が、夜であれば、港湾部
から市内の中心部に向かう道路が大渋滞を起こすしやすい。

私の帰宅経路に、夜になると大渋滞を起こす道路や交差点がある。
道路には大型車両が連なり、たまりかねたタクシーがバイク用の車線を走る。
交差点には信号があろうとなかろうと、我先にと車とバイクが突っ込み、
お互いに身動きが取れなくなる。もうどうしようもなくなると、
誰かが車から降り、交通整理を始める。
交通整理のために公安の職員が立っていることもよくある。

この渋滞には、車両数の増加だけでなく道路事情も関係している。
ホーチミンの中心街は特に一方通行が多かったり、道が狭かったりで、
急激に変化した交通事情に、街が対応し切れていないといえる。
特に、夕方4時~6時くらいまでは会社員の帰宅ラッシュが発生するため、
道路は大渋滞に陥る。ベトナムでは、定時になったらすぐさま業務を切り上げて
帰るのが当然である。日本人が残業しすぎなのかもしれないが。







 
 
 
 


ここでさらに大型車両が街中を走ると、大変なことになるからだろう。
大型車両は上記の時間帯を含めた4時~8時までは、街の中心部を走ることが
禁止されている。そのため、大型車両は中心部から外れたところで時間を
待ち、いざ走行可能になると一斉に走り始める。その結果、大型車両が連なる
大渋滞を起こす。

私たちの事務所は、約1年前に移転したのだが、移転前の事務所は市内の
中心部にあった。その際、夕方4時になると荷物を積んだ車が道路に出られ
なくなり、4時間もの間、荷造りの終わった事務所の中で、車両が走行可能に
なるのをひたすら待っていたことを今でもはっきりと覚えている。

現在では、街の中心部から少し離れたところに、住居やオフィスビル、
ショッピングセンターなどができ、開発が進んでいる。
我が社が移転したのも実はこの地域なのだが、こちらの方は道路が広く街並みや景色も綺麗だ。
これからもさらに開発が進んでいくだろう。

さて、車の増加に街が対応仕切れていないという話をしたが、同じように、
車やバイクを運転する人の交通マナーや意識も追いついていないと感じる。
次回は、このあたりをお伝えしたいと思う。



 
   
 



ところで、ホーチミンの日中は、ひっきりなしにオートバイが走っている。
これでもか、というほど荷物を積み上げている人もいれば、手ぶら同然の
人もいる。端から見ていて、この人たちは一体どこに行くのか?と疑問を
感じるのだが、ベトナム人のスタッフに聞いても、皆、わからないという。
このあたりの謎解きができると、ベトナムの生活事情、ビジネス事情も
より詳しくわかるのだろう。



 


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