アジアブログ

 

 
 

2010年1月26日 【ベトナム】
2009年の総括と2010年の予測

Brain Works Asia co.,Ltd
ディレクター 中嶋 和雄



もう1月も終わりに差し掛かり、新年とは呼べない時期になったが、日本では
年末年始になれば、どこにいても正月気分を味わうことができるものである。
一方、ベトナムは、ご存知の方も多いと思うが、旧暦で日常生活が営まれて
いるため、その時期は普段とほとんど変わりがない。
そのため在留日本人にとっては少し損した気分で過ごす、寂しい時期でもある。



ただし、替わりに今年は2月14日が旧暦元旦になり、
旧正月(ベトナムではテトとよぶ)を盛大に祝うこととなる。
今はどこでも、これから迎えるテトに向けて、
まさに「師走」の様相を呈しているといえる。


とはいえ、1年の総括や新年の見通しなどは国際標準に合わせて
通常の暦でカウントされるため、この時期にはさまざまな報道がされている。
日本人にとってベトナムの1年がわかる手がかりとして、
参考までに日系の情報配信会社NNAがまとめたものがある。


  URL: http://news.nna.jp/free/news/20091230icn001A.html


ここから浮かび上がることは、何といってもこの世界不況のなかでも
ベトナム経済はいち早く回復を遂げ、5%を越える成長を達成した、
まさに成長セクターとして注目できるという点だ。


しかしながら、実態の数字としてASEAN諸国と比較してみると、
成長著しいことはわかるのだが、忘れてはならないのは、
そもそもの経済規模がまだ小さいことである。まして、
経済大国日本とは数字の上では比較にならないのだ。


  URL: http://www.jetro.go.jp/world/asia/asean/data/asean_stat06_0909.pdf


それをいってしまっては実も蓋もないが、もう少し別の角度から見ると面白い。
最新のデータではないが、2009年1~5月時点での貿易統計指標である。


  URL: http://www.vina-finance.com/news/200906/11_000617.html


実は海外輸出関連の数字は軒並み前年比を下回っている。
(速報データでは通年でも前年実績は下回ったようである)
他の東南アジア諸国も同程度か、それ以上の落ち込みであり、
成長力の高いといわれるベトナムにおいても、海外との貿易が
収縮した流れは変わらないのである。


一方で、顕著なのは、小売部門の成長である。


  URL: http://www.vina-finance.com/news/200912/28_001947.html


つまり、内需で成長しているのだ。
ベトナムは人口だけで8600万人で、さらには
30歳未満の人口が6割以上といわれている。


これまでは統計上の数字からこの人口や年齢構成に対する魅力を喧伝されて
いたのだが、昨年来の世界同時不況と、その回復への足取りから、
予期せぬタイミングで「旺盛な内需が100年に一度の世界不況さえ
ものともしない」ことを実証したのだ。


こうしたデータの裏付けがあれば、2010年は内需を狙って日本のみならず、
欧米、韓国、中国のグローバルプレーヤーが激しい競争を始めだろう。
2010年代のベトナム、いやメコンエリアの覇権争いは、既に幕開けしている。


最近、日経新聞などの報道でもベトナムビジネス関連のニュースが取り上げ
られるようになって、徐々に日本でも注目度が高まっている。


しかしながら、このような情報はもはや世界中で多くの人が知るところであり、
欧米、韓国、中国、台湾といったグローバルプレーヤーがさらなる攻勢をかけている。


もはや、このマーケットを狙って参入するかしないか、その決断をする
最後のタイミングになってきたのではないだろうか。


BWGでは、先日1月22日の日経産業新聞にも取材記事が掲載されたとおり、
「ジャパンスタイルショップ」という名称で、中小企業でも手軽に自社商品を
ベトナム国内で展示販売できるサービスを開始する。


実際に行動を起こす日本人は少しずつしか増えていないのが実情だが、
アジアでビジネスチャンスをつかみたいビジネスパーソンの
「背中を押せる」サービスを、今年も力強く推進していく。
 


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