アジアブログ

 

 
 

2010年2月8日
交通事情から見るベトナム人のマナーとサービス

Brain Works Asia co.,Ltd
田口 秀一



前回、車の増加に街が対応仕切れていないということを書いたので、
今回は車やバイクを運転する人の交通マナーや意識について書きたいと思う。


前回「車やバイクが交差点に我先にと突っ込み、大渋滞をさらに悪化
させている」ということを書いた。ベトナム人の交通マナーについては、
この件がもっともわかりやすく表れている例だと思う。本当に、少しでも隙間が
あればそこに突っ込み、そのせいで他の車の前が塞がろうと、そこに危険が
伴おうと、お構いなしだ。


そして、前を塞がれた車は、邪魔なので騒々しくクラクションを鳴らす。
その周辺で「俺は行くぞ」といわんばかりに、他の車がクラクションを
鳴らしながら隙間に突っみ、周囲は騒音の嵐になる。
大型車両の狭い隙間を小さなバイクがすり抜けていく様子を見ていると、
いつ事故が起こるかと、こちらがヒヤヒヤしてくる。大型車両の座席からは、
足元をすり抜けるバイクなど見えていないだろうし、運転手もカッカしている。
今、走り出したら・・・と思うと、本当に恐ろしい。




 
   




大きな交差点には、だいたい信号が設置されている。
1人ひとりが、信号を守りさえすれば、大きく状況は変わると思うのだが、
残念ながら、まだ自分が先に、少しでも早く、という意識が強いようだ。
待っていてはキリがない、という気持ちもわかるが・・・。


交通ルールだけを取ってみても、その他に色々なマナー、ルール違反が見受けられる。
オートバイでは、道路の逆走、信号無視、携帯電話での通話やメールを
しながらのノロノロ運転、友達と併走しておしゃべりしながらの走行、
後方確認せずにハンドルを切るなど。車では、細い道で何度も切り返してのUターンで
対向車線を塞いでいるというのをよく見かける。



 
   
 



どれも、自分中心になってしまい、周囲が見えていないために起こるものだ。
こういうモラルの発展については、交通以外のことも含め、
今後のベトナムに期待されるところだろう。もちろん、全員がそうではなく、
すでにきちんとモラルを持った人が多くいることも付け加えておく。
悪い部分というのは、どうしても目立ってしまうものだ。


一方、サービスについてはだいぶ向上していると感じる。
3年半前に初めてベトナムを訪れた際は、私が不慣れに見えたのか、
タクシーに乗れば遠回りしてぼったくられるということが頻繁にあった。
行き先がわからなくなった運転手から、この道の向こうだから、降りて歩いて
行ってくれ(当然、嘘なのだが)といわれたこともあった。


今でも、わざと遠回りされたり、メーターの上昇が異常に早く
感じられたりすることもあるが、その回数はずいぶん減ったように感じる。

最近では、降りるときにお礼をいわれることが頻繁にある。
さらに、ドアを開けてくれたり、雨の日には傘を持ち出して建物の入り口まで
送ってくれたりすることもあり、サービスマインドが必要視されはじめているのだ
ということを実感できる場面である。
最近はレストランなどでも、店員に教育をしていることが感じられる店が増えてきた。


私たちは、ベトナム人に対する教育事業を展開しており、接客やサービス、
マナーに関する教育ももちろん行っている。ビジネスマナーなどは国によって
異なる部分もあり、全て日本式が正しいというつもりはないが、先進国として、
ビジネスの先輩として、教えられることはたくさんあると考えている。


実際に、ある日系企業のサービス研修をおこなった際、参加者に「過去にサービス
に関する研修を受けたことはあるか」と質問すると、100名以上のベトナム人の
ほぼ全員が受けたことがないと答えた。
こういう活動を通じてベトナムの成長の手助けができれば、嬉しい限りである。


余談だが、ベトナムはもうすぐテト(旧正月)である。ベトナム人にとって、
テトは何よりも優先すべき重要なイベントだ。ほとんどのベトナム人は
田舎に帰り、家族と共に過ごす。これはこれで、いいことだと思う。


しかし、生活する側は困る。何しろ、ほとんどの店が営業していないのだ。
昨年のテトはカンボジアへ出張したので、その様子を自分の目で見ることができなかった。
その前年はベトナムで過ごし、道端の屋台やインスタント食品で空腹を凌いだ覚えがある。


今年はどうだろうか。この1年で、コンビニエンスストアが一気に増えた。
恐らく、テト中も営業しているはずだ。ホテル周辺のレストランなどは、昨年でも
営業していたらしい。今年はさらに、そういう店が増えているかも
しれない。このあたりの変化を探るもの面白そうだ。



 
  
 
 


著作権について

本サイト内の記事、コンテンツ類の無断転載、複製および転送を禁じます。このような運営の妨げになる行為に関しては、損害賠償を求めることがあります。