アジアブログ

 

 
 

2010年3月26日 【ベトナム】
「お祭り」も作るもの

Brain Works Asia co.,Ltd
ディレクター 中嶋 和雄


先月、ホーチミンで2回目の旧正月を迎えた。
今年も中心街にある大通りのグェンフエ通りを花飾りでいっぱいにする
花祭りが開催され、もはやホーチミンの旧正月の風物詩になっている。

ところが、実はまだ6年目で、以前はなかった。
スタッフや知り合いのベトナム人に聞くと、それまでは家族と静かに過ごしたり、
田舎へ帰るのが主流で、こうした賑わいは最近のものだ、と。
もちろん、今でもそうした人も多数いることは変わりないが、
少しずつ変化していることを物語っているといえる。

そんななか、中心街から少し外れた新興開発地区のフーミンフンでは、
今年初めて、旧正月前に出店が賑わうお祭りが開催された。
まだまだ開発途上の地区のため、オフィス街といっても普段はそんなに
賑わうこともない閑散とした場所であるが、このときばかりは一変した。

弊社のオフィスも近くにあるのだが、オフィス前の通りには仮設テントが立ち並び、
旧正月の1週間くらい前からスタートする。
はじめは人もまばらであったが、どこで聞きつけたのか、
徐々に賑わいを見せ、最終日の夜は人で一杯になり、さすがに驚きを隠せなかった。

フーミンフン地区のよさは、何といってもゆとりのある道路と舗装された
歩道が整備されていて、ゆったりと歩きながら出店などを楽しむには
うってつけの環境である点である。
バイクや足元の悪さを気にせずに歩ける点は、日本人には当たり前だが、
こちらにいるとめったにないことなのでベトナムであることを忘れてしまうほどだ。

そういう意味で、日本人にとってはグェンフエ通りの花祭りよりも、
こちらの「お祭り」のほうが性に合うかもしれない。
さらに、ライトアップされた川沿いの道などを歩けば、まだ知られていない
せいか人もあまり多くなく、ゆったりと時間を過ごすことができ、気分もよくなる。

こうした「お祭り」も、今回だけでなく”長く続けていけば”
グェンフエ通りの花祭りと同じように、名物になるだろうと感じた。

実際に「お祭り」は、古い歴史や伝統があるかないかは、さほど関係ない。
例えば日本でも、北海道の初夏の名物になった「YOSAKOIソーラン祭り」は、
古くからやっているようだが、実はまだ19回目である。
きっかけは、とある学生が強い想いをもって始めたことであり、それが
いまや200万人を越える観客動員を誇る一大イベントになったのである。

少子高齢化が進む日本で同じ物語を作るのは、もはや難しいかもしれない。
しかし、旺盛な消費意欲や活気溢れるアジアなら、まだまだ「お祭り」や
こちらでは見られない「エンターテイメント」もまた、
これから人々が受け入れていく可能性がある。

ビジネスとしての魅力もそうだが、まだベトナムにはない、新しいイベントや
仕掛けにチャレンジすることもまた、面白い時代になっていると改めて感じた。

 

 

 
 


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