アジアブログ

 

 
 

2010年3月31日
交通インフラの充実は産業発展の礎

ブレインワークスグループ CEO 
近藤 昇



3月の上旬に、今執筆中の”アジア農業ビジネスチャンスをつかめ”
の取材もかねて久しぶりに、タイの郊外を訪れた。
バンコクからハイウェイを使って、車で4時間近くの高原の農業地帯に
向かったのだが、想像通り、見渡す限り一面が農村。
広大な土地を目の当たりにし、日本の30年以上前の農村の風景が蘇る。
近年、首都バンコクの交通渋滞は、ニュースでもよく目にするほど、有名な話。
この部分だけ見ると、タイはなんと無計画な都市開発なんだと思ってしまう。
実際、大渋滞の場に居合わせると、大変不便で、必要以上にいらだつ事もある。






 
 
 


しかしながら、目の前に広がる郊外の充実した道路網を目の当たりにすると、
もしかしたら、日本よりも地方の道路事情は進んでいるのではと思わされる。
タイは、この30年間、農業の発展に力を入れている。
農業が最大の産業であるこの地域では、輸送路の確保は重要なテーマのひとつであろう。
新鮮な野菜などを、陸路で都市部や港に供給することは、
農業ビジネスにとっての生命線である。
もちろん、点在する工業団地にも、充実した輸送網は必要不可欠なもの。

話は変わるが、日を追うごとに世界からの注目度が増してくるベトナムと、
タイはよく比べられる。
ベトナムにビジネスで訪れた人たちが、最初に口にするのが、交通インフラの遅れだ。
交通インフラだけ見ていると、ベトナムはタイに比べて、20年は遅れていると感じる。
都市部の大渋滞は、経済的、精神的に相当な損失だろう。
郊外に出ても、輸送用のトラックが大渋滞を引き起こし、この様子は、
改善されているかというと、ここ10年、特に大きな変化は見られなかった。
むしろ、悪化の一途を辿っているように感じていた。
それが、今年になってようやく交通インフラの整備に向けて動き出したようだ。
そんな胎動を感じながら、タイの農業視察の直後にベトナム南部を農業視察で訪れ、
そこでもその兆しを実感した次第だ。

ちょうど、少し前の旧正月のテト明けに完成したというハイウェイ。
現時点で、ベトナムでもっともハイレベルだと言われる数十キロの
ハイウェイを疾走した。
こちらも、タイと同様、周囲は一面農村。
しかも、メコンデルタの中だけあって、一面水田。
こんなのどかな風景の中を、ハイウェイが一直線に走る。
国の急速な成長期には、こんな風景が至る所で、広がっているんだろうなと思いにふけった。
道ができる前と、できた後では、人や物の動き、流れが一変する。
これからのベトナムの10年は目を離せない。



 
 
 
 



さらに、今、メコンエリアでは、国をまたぐ大規模な交通インフラを整備している。
東西回廊、南北回廊などメコンの大動脈が次々と進行中だ。
この基幹道路が完成した暁には、物の流れが変わり、人の流れが変わり、
この地域の産業や生活レベルの発展に寄与するであろうことは想像に難くない。




 
 
 


メコンエリアのあちこちに、日本のODAで建設された橋や道路がある。
地元の人は、日本のこういう貢献に関してはよく理解している。
特にインフラ整備は、生活や産業発展の土台となる非常に重要な貢献だ。
だからこそ、日本はもっと積極的に、根っこのところから、アジアとの共存を堂々と推進するべきだと思う。




 


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