アジアブログ

 

 
 

2010年5月31日 【ベトナム】
日本への期待はいつまで続く?

Brain Works Asia co.,Ltd
ディレクター 中嶋 和雄


最近、仲のいいベトナム人のビジネスパーソンも増えてきて
色々と意見交換すると、やはり日本に対する期待の言葉をかけられる。

もちろん、全てのビジネスパーソンが期待を持っているだけでもなく、
半分は日本人である私へのおべんちゃらも入った話でもある。
しかし、それを差し引いても、日本人、日本企業への期待は大きい。

ことは間違いない。 それゆえ、日本に対して手厳しいというよりは期待が
大きい分だけ拍子抜け、ということについても言われる。
その中でも一番言われることは「決断が遅い」、「商談が長すぎる」
「求めるハードルが高すぎる」ということである。

一方で韓国や台湾、中国のビジネスパーソンは即断即決、その場で
提携や出資なども決めてしまう。
こうした事例もあってか、初めから日本に関心を示さない経営者が
大勢いることは、残念ながら事実である。

もちろん、日本人の慎重なビジネスの進め方を理解して、長期的に
良好な取引関係をベースにしたいという、日本人らしいビジネスの
進め方に好意を示す人も増えている。
これは世界不況のあおりで多くの外資系企業(特に韓国系)が夜逃げ
同然で撤退したり、約束を反故する事例もあった一方で、日本企業は
じっと耐えてビジネスを継続させていた点を評価しているようである。

だからといって、今までのペースで本当にベトナムビジネスを成功
させることが出来るわけではない。むしろ、ベトナム人の本音はスピーディに
チャンスをつかむ機会を増やしていくことを求めている。

最近、地元新聞記事ではアメリカ企業がベトナムへの進出に目を向け、
さかんに投資を始める話をよく目にする。
また、ヨーロッパ系の企業が政府の後押しを受けながら
進出する事例もかなり増えている。

こうした動きを見るだけでも、アジア各国から欧米の先進国まで玉石混交で
大競争が始まっているのが実情である。日本でも報道されている、原発や
新幹線の事例からも、既に世界で一流のグローバルプレーヤーがベトナム
マーケットでしのぎを削る時代に突入したといえよう。

先日、古くからベトナムで活動されている日本人の方ともお話させていただく
機会があり、これまでは個人レベルの力でも活躍できたが、これからは力を持つ企業が
しっかりしたビジネスをするステージに変わってきて、
自分達も出番は限られてくるだろう、とおっしゃっていた。

弊社代表の近藤も書籍やブログなどで強調しているが、日本でしっかりと
足場を固めた企業こそ、これからアジア、特にベトナムで
チャンスを掴むことができる時代になる。

ビジネスコストも高く、成熟した市場にチャンスを見つけることが難しい日本の
マーケットと比較すれば、競争は激しくなるとはいえ、同じコストを
かければ、より大きな勝負に出られるベトナムマーケットへ参入する
ことも、十分に採算取れることとして視野に入れられる。
何より、これから市場のパイが広がりながら競争する時代がまだ何十年と
続くのだから、やりがいがある。

日本人、日本企業が期待されている今だからこそ、すぐに動かないと
チャンスの女神の前髪を掴み損なってしまう。
そのためには経営者自身や”錦の御旗”を持った会社のエースが
現地ビジネスをしっかりマネジメントする覚悟で来ないと、グローバルな
競争相手に対して成功もおぼつかないだろう。

いま、ホーチミンで一番ブランドイメージが高いのは韓国のサムソンである、
というアンケート結果が数ヶ月前の新聞記事に出ていた。
それでも私自身が日々活動する中で感じるのは、日本品質、日本ブランドへの
憧れは一番強いことである。それは、弊社グループで展開する『ジャパンスタイル
ショップ』という、日本のプロダクト紹介と販売を手がけている店舗でいただく
声からも実感できる。

しかし、手をこまねいて日本人や日本企業が躊躇していれば、数年後には
ベトナム人の憧憬の対象は日本ではなく韓国になっているかもしれない。

 

 

 
 


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