アジアブログ

 

 
 

2010年6月21日 【ベトナム】
ベトナムローカル事情


Brain Works Asia co.,Ltd
田口 秀一

観光の他、ビジネスでも注目を集め、このところ、特にマーケットとして
熱い視線を注がれているベトナム。多くのビジネスパーソンがビジネス
チャンスを求めてやってくるが、文化も風習も考え方も違う国でビジネスを
するということは、一筋縄ではいかない。

今回は、私が出会った「いかにも」というローカル事情を書きたい。
どれも、観光ツアーで来てみたり、一等地で高級な施設だけを
利用していては、決して味わうことのできない場面だ。


その① 入居ビルの建築遅れ

弊社は1年半ほど前に建てられたビルに入居している。
入居当時は新築のピカピカ、とはいかず、ビルの工事が遅延して入居日に
完成していなかたっため、工事中のビルに入る羽目になった。

ベトナムでは、ビルの建築が遅延することなど珍しくない。
弊社が入居した時は未完成ということでエレベーターが稼動しておらず、
その結果、10階のオフィスまで毎日、階段で昇り降りすることになった。

前のオフィスは解約し、行くところがないのだから、致し方ない。
途中で何度もオーナーや建築会社に対し、本当に間に合うのかと
確認して、問題ないとの回答だったが・・・やはり無理であった。

日本ではクレームどころか、補償問題になってもおかしくないだろう。
しかし、ここはベトナム。オーナーはそんなことに取り合わない。

もめている間、こちらは事業を停止しなければならなくなるので、
電気工事など最低限の工事を大至急でやらせ、工事業者が出入りする
ビルで、エレベーターが動かず電話も通じない中、業務を開始したものだ。

その間に視察などで弊社を訪れた顧客は、むしろ工事中のビルでの
業務開始をオーナーが認めたことに驚いていらっしゃったが。


その② やる気のないタクシー運転手

ベトナムは公共の交通機関が未発達だ。電車もあるにはあるが、行き先は
ごく限られており、普通の生活では、ほぼ利用することがない。
路線バスもあるがオールベトナム語なので、なかなか外国人には利用しづらい。

そこで登場するのがタクシーだ。ベトナムでの移動は、実際にはほとんど
タクシーですることになる(オートバイを持っていれば別だが)。

しかし、このタクシーのサービスが目を覆いたくなるほど悪い。最近では、
一部のタクシー会社で接客のいい運転手を見かけるが、まだわずかだ。

弊社のすぐ近くに待機する某タクシー会社の運転手は特にひどい。
日中、暇な時には、10人くらいで木陰に集まって、カードゲームでの
ギャンブルにいそしんでいる。

遠くから顧客が呼んだり、手を振っても、誰一人見ていない。
百歩譲って、10人近くもいるのだから、誰か一人でも見張りをすれば、
とも思うのだが、全員が全員、ゲームに集中しているのだ。

そして、もう声をかければ聞こえる、というくらい近づいて初めて、こちらに
気が付く。そこで、私は運転手にクレームを言ったが、返答は「退屈なんだ
から仕方ないだろう」と。正に、のれんに腕押しの気分だ。


その③ とんでもないローカルのフォーの店

私が、工業団地にある顧客先に行った時のことだ。昼食を食べるために、
工業団地の近くにあるフォーの店に入った。普段は外国人など決して
入らない、本当にローカルの店だ。

入る時に、入り口に置いてある器が目に付いた。器の中は砂と水が
溜まっている。ローカルに慣れた私でも、まさか、この器を使うのか?と、
目を疑ってしまった。

どうなることかを思いつつ、テーブルに座って、様子を見ることにした。
予想通り、店の女性は先ほどの器を手に取った。せめて洗ってくれるだろう、
と期待して見ていると、近くにあったお湯の入った鍋に、その器を浸した。

なんと、熱湯消毒をしている。意外にちゃんとしてるじゃないか、と感心
したのも束の間、次の瞬間に目を覆いたくなる光景が待っていた。

器を置いた女性は、フォーの麺を手に取ったかと思うと、先ほど器を洗った
鍋で麺をゆで始めたのだ。食器を洗うのと麺をゆでるのが同じ鍋とは・・・。

出てきたフォーはそこそこおいしかった。食べる私も私だが、ローカルの
ベトナム人の生活に馴染むというなら、このくらいは受け入れる覚悟が
必要だろう。ただ、この話を聞いた弊社の社員や顧客のベトナム人は、
軒なみ驚いていたが。

ビジネスにおいて発展し、先進国に追いつこうと思えば、これを笑って
済ませていてはいけない。新興国の話と思って聞けばこそ、笑える話
なのである。こういう話が過去のネタとして笑い話になるには、まだまだ
長い時間を必要としそうだが、その発展に協力していきたいものだ。


 




 


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